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川柳

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2021年6月の記事一覧

空想う

フィクションに暮らすあの子が空想する

物心つく前に聴いていた歌

いつまでもよくわからない水の色

頬を伝う伝言ゲーム遺伝子の

文を書くのに必要な物語

存在しない空を奏でるふたり

きみの地上に

空が何色でも悲しい手をひらく

あの朝は何を託されたんだろう

あなたの断片が刺さりながら暮らす

存在しないから完璧なつばさ

空想を見ているきみの瞳のひかり

天邪鬼で、無邪気で、天気のようだった

シャーペンと消しゴムとノート

川柳を富士山頂で書いている

川柳をジャングルジムで書いている

川柳を校長室で書いている

川柳を頭の中で書いている

川柳をお昼休みに書いている

住む

半濁音みたいに澄んだシャボン玉

おとめ座のおとめが座り座談会

読書感想文だけを送り合う

直線に囲われ木々は困り顔

きらきらな直射日光と出掛けてる

しじみのなかの静寂

青色を静かに想う水蒸気

静寂(しじま)のなかでしじみ見る しみじみと

「ふ」と「心」 少し似てるとふと思う

幸せな思い出たちと今日の雨

静かな清浄

かけがえのない 欠けていく 駆けていく

脳みその乗り物みたいな僕だった

清浄され、静かなシーンとなっている

身体と心の全部が耳を澄ます

いつか仄かな灰になる

ほのぼのとのほほんとした本を読む

蝶のように喋り 蜂のように出逢う

夕焼けの下で朝陽を待っている

他人事みたいに春の傘を差す

眠る天気

解説されるのを待っている機材

機嫌良さげに青色は空を舞う

穏やかな電気信号に触れている

窓の内側で眠っているボール

感触

微睡みの中 よくわからない場所にいる

誰も覚えてない人の卒業式

モニュメントもにゅもにゅさわるモーメント

寒色の感触冷たいダジャレ言う