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【小説】奔波の先に〜聞多と俊輔〜幕末編

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小説 奔波の先に〜聞多と俊輔〜幕末編 をまとめました
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#創作大賞2023

【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#34

7 黒船と砲台(5)  世子定広は、船木で講和の指揮を取ることになった。講和交渉組に杉も合流…

瑞野明青
2年前
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【小説】「奔波の先に」の先にはどこに行くんだろう(参考文献リスト) 

 井上馨に興味を持って、とりあえずこれだけ読みました。 どこに向かうかどこまで続けられる…

瑞野明青
2年前
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【小説】奔波の先に~聞多と俊輔~ #1

プロローグ(1) 麻痺をして足腰に力が入らず、あんなに重かった体が軽い。なにしろここは暗…

瑞野明青
2年前
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【小説】奔波の先に~聞多と俊輔~ #2

プロローグ(2) 久しぶりの萩は懐かしかった。とは言ってもここに住んでいたといえるのは明…

瑞野明青
2年前
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【小説】奔波の先に~聞多と俊輔~ #3

2 出会い(1)「まずは僕から」  俊輔は続けて言った。 「初めの事は聞多覚えていないから…

瑞野明青
2年前
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【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~ #4

2 出会い(2)  その頃わしは志道家へ婿養子にいき、洋式の兵錬の披露の際お褒めに預かり…

瑞野明青
2年前
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【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~ #5

2 出会い(3) 翌朝聞多が誰と行くのか気になった俊輔は、門の脇の木陰に身を潜めた。そこに現れたのは山縣小輔だった。少し遅れて聞多がやってきた。 「待ったか」 「いえ、ここにはさきほど。それに時間があればちょっと頭を捻ってつくるのも楽しいですから」 「世の中はなにか常なるあすか川昨日の淵ぞ今日は瀬になる」 「それは?」 「古今集じゃ。お主まだよう知らんのじゃな。貸してやる。ここで待ってろ。良いものじゃ」  山縣は自分が歌詠みだと言った手前、古今集を知らないといけないことは

【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~ #6

出会い(4) 夕刻、俊輔は桂の部屋に呼ばれた。襖の前で「伊藤俊輔参りました」と声をかけた…

瑞野明青
2年前
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【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#7

尊皇攘夷への道(1) 「時代は僕らをのんびり過ごさせてはくれなかったんだ。」  俊輔は説…

瑞野明青
2年前
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【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~ #8

尊王攘夷への道(2)  その頃聞多は自室で大の字になっていた。手元には航海遠略策、床の上…

瑞野明青
2年前
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【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~♯9

尊王攘夷の道(3) そんな中で聞多は殿の御小姓から、世子様(お世継ぎの養子)の御小姓にお…

瑞野明青
2年前
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【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~♯10

尊王攘夷への道(4)  こちらの二人は苦笑しながら、もう一組を見ていた。しだいに高杉も聞…

瑞野明青
2年前
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【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~♯11

尊王攘夷への道(5)  そんな話をしてしばらくたったころ、高杉は同士と承認する者たちを土蔵…

瑞野明青
2年前
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【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#12

決行(1)  約束通り神奈川の旅籠に集まった皆は、景気づけに酒盛りを始めていた。すると用事を済ませて戻った山尾庸三が切り出した。 「なんかこの宿の周りに、取締方のような連中がいるようなんだが」 「なんだって、公儀のものだろうか」 「われらのことが漏れたのか」  山尾の言葉を聞いて、窓から外の様子をうかがうものや不安を口々に言うもので、先程の間での鷹揚さはかき消されていた。 「こちらから手出しをせねば、騒ぎにはなるものではないだろう。落ち着け。冷静になるんだ」  高杉が