マガジンのカバー画像

【小説】奔波の先に〜聞多と俊輔〜幕末編

54
小説 奔波の先に〜聞多と俊輔〜幕末編 をまとめました
運営しているクリエイター

#幕末明治

【小説】奔波の先に~聞多と俊輔~ #1

プロローグ(1) 麻痺をして足腰に力が入らず、あんなに重かった体が軽い。なにしろここは暗…

瑞野明青
2年前
4

【小説】奔波の先に~聞多と俊輔~ #2

プロローグ(2) 久しぶりの萩は懐かしかった。とは言ってもここに住んでいたといえるのは明…

瑞野明青
2年前
5

【小説】奔波の先に~聞多と俊輔~ #3

2 出会い(1)「まずは僕から」  俊輔は続けて言った。 「初めの事は聞多覚えていないから…

瑞野明青
2年前
6

【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~ #4

2 出会い(2)  その頃わしは志道家へ婿養子にいき、洋式の兵錬の披露の際お褒めに預かり…

瑞野明青
2年前
7

【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~ #5

2 出会い(3) 翌朝聞多が誰と行くのか気になった俊輔は、門の脇の木陰に身を潜めた。そこ…

瑞野明青
2年前
3

【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~ #6

出会い(4) 夕刻、俊輔は桂の部屋に呼ばれた。襖の前で「伊藤俊輔参りました」と声をかけた…

瑞野明青
2年前
7

【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#7

尊皇攘夷への道(1) 「時代は僕らをのんびり過ごさせてはくれなかったんだ。」  俊輔は説明を続けた。 「公儀が外国と結んだ条約を巡って港を開くか、あくまでも鎖国を続けるか、交易はしないが寄港を許すかという問題があった。鎖国・開国・夷狄である外国人を討つべき・外国と戦えるまでは相手を利用すべき・公儀のもとで政治を行う・帝こそ政治の中心等意見の交錯もあってたくさんの主義主張が乱れ飛んでいた。主義主張が政治闘争となると血なまぐさい事件にもつながっていく。長州も安政の大獄で亡く

【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~ #8

尊王攘夷への道(2)  その頃聞多は自室で大の字になっていた。手元には航海遠略策、床の上…

瑞野明青
2年前
3

【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~♯9

尊王攘夷の道(3) そんな中で聞多は殿の御小姓から、世子様(お世継ぎの養子)の御小姓にお…

瑞野明青
2年前
5

【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~♯11

尊王攘夷への道(5)  そんな話をしてしばらくたったころ、高杉は同士と承認する者たちを土蔵…

瑞野明青
2年前
4

【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#12

決行(1)  約束通り神奈川の旅籠に集まった皆は、景気づけに酒盛りを始めていた。すると用…

瑞野明青
2年前
2

【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#14

決行(3)  扉を叩き壊して、中に入った三人は、建築用の木材が積み重なっている、作業中の…

瑞野明青
2年前
5

【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#15

決行(4)  京についた聞多たちは年が明けて、騒ぎの処分として7日間在宅を命じられ、その…

瑞野明青
2年前
1

【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#16

策動(1) まずやるべき事を考えた。伝えなくてはいけない人と知られてはいけない事、整理をしていく事にした。  ただ殿への話は、藩要路の方々の様子をうかがう上でも、やってみる価値がある。どうする。迷ってる時間はない。そうだ、やるしかない。 「殿へのお目通り願いたいのですが、いかがでしょうか」  奥番の方に声をかけた。 「殿は奥でお過ごしじゃ。お声をかけて参ろう」 「ありがとうございます」  しばらく待つと、戻ってきて言った。 「お会いくださるそうだ。よかったな」 「ありがたい