【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#7
尊皇攘夷への道(1)
「時代は僕らをのんびり過ごさせてはくれなかったんだ。」
俊輔は説明を続けた。
「公儀が外国と結んだ条約を巡って港を開くか、あくまでも鎖国を続けるか、交易はしないが寄港を許すかという問題があった。鎖国・開国・夷狄である外国人を討つべき・外国と戦えるまでは相手を利用すべき・公儀のもとで政治を行う・帝こそ政治の中心等意見の交錯もあってたくさんの主義主張が乱れ飛んでいた。主義主張が政治闘争となると血なまぐさい事件にもつながっていく。長州も安政の大獄で亡く