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【小説】奔波の先に〜聞多と俊輔〜幕末編

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小説 奔波の先に〜聞多と俊輔〜幕末編 をまとめました
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#伊藤博文

【ライナーノーツ】奔波の先に ~聞多と俊輔~幕末編完結に

ある時の聞多と俊輔の会話 聞多  俊輔、あんなにわしのこと怒ったりしとったのか 俊輔  …

瑞野明青
2年前
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【小説】奔波の先に~聞多と俊輔~ #2

プロローグ(2) 久しぶりの萩は懐かしかった。とは言ってもここに住んでいたといえるのは明…

瑞野明青
2年前
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【小説】奔波の先に~聞多と俊輔~ #3

2 出会い(1)「まずは僕から」  俊輔は続けて言った。 「初めの事は聞多覚えていないから…

瑞野明青
2年前
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【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~ #4

2 出会い(2)  その頃わしは志道家へ婿養子にいき、洋式の兵錬の披露の際お褒めに預かり…

瑞野明青
2年前
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【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~ #5

2 出会い(3) 翌朝聞多が誰と行くのか気になった俊輔は、門の脇の木陰に身を潜めた。そこ…

瑞野明青
2年前
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【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~ #6

出会い(4) 夕刻、俊輔は桂の部屋に呼ばれた。襖の前で「伊藤俊輔参りました」と声をかけた…

瑞野明青
2年前
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【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#7

尊皇攘夷への道(1) 「時代は僕らをのんびり過ごさせてはくれなかったんだ。」  俊輔は説明を続けた。 「公儀が外国と結んだ条約を巡って港を開くか、あくまでも鎖国を続けるか、交易はしないが寄港を許すかという問題があった。鎖国・開国・夷狄である外国人を討つべき・外国と戦えるまでは相手を利用すべき・公儀のもとで政治を行う・帝こそ政治の中心等意見の交錯もあってたくさんの主義主張が乱れ飛んでいた。主義主張が政治闘争となると血なまぐさい事件にもつながっていく。長州も安政の大獄で亡く

【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~ #8

尊王攘夷への道(2)  その頃聞多は自室で大の字になっていた。手元には航海遠略策、床の上…

瑞野明青
2年前
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【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~♯9

尊王攘夷の道(3) そんな中で聞多は殿の御小姓から、世子様(お世継ぎの養子)の御小姓にお…

瑞野明青
2年前
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【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~♯10

尊王攘夷への道(4)  こちらの二人は苦笑しながら、もう一組を見ていた。しだいに高杉も聞…

瑞野明青
2年前
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【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~♯11

尊王攘夷への道(5)  そんな話をしてしばらくたったころ、高杉は同士と承認する者たちを土蔵…

瑞野明青
2年前
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【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#12

決行(1)  約束通り神奈川の旅籠に集まった皆は、景気づけに酒盛りを始めていた。すると用…

瑞野明青
2年前
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【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#13

決行(2)  公使の暗殺を計画し失敗した面々は、一つのところに押し込められ謹慎となった。…

瑞野明青
2年前
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【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#14

決行(3)  扉を叩き壊して、中に入った三人は、建築用の木材が積み重なっている、作業中の場所を見つけた。 「ここでなんとかなるじゃろうか」  聞多が福原に声をかけた。 「ようし、ここに火をつけよう」  福原が焼玉を取り出すと、聞多と堀も続いた。  カンナ屑など燃えやすそうなものを集めて、その上に焼玉を置き、板などを重ねて火をつけた。この時、聞多は一つ手元に残していた。もう逃げようと福原が声をかけたので、立ち去ろうとした。  火の行方を気にしながら聞多は何度も振り返った。