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一年半ぶりの演奏会

先日、私にとっておよそ1年半ぶりの演奏会があった。
無観客ではなく有観客で。

最後の演奏会は去年の2月でした。
ちょうどマスクが手に入りにくくなった時期だったが、さまざまなご協力のおかげで無事に開催できた。
今では当たり前になったマスク姿だが、その時は舞台から見えるマスクで埋め尽くされた客席を不思議な気持ちで眺めていた。

それから感染者数の増加に伴って、演奏会が開催できなくなった。
無観客での演奏会やオンライン合奏など、あの手この手で世の中の音楽は絶えていなかったが、私自身結婚のこともあり音楽から少しの間離れることにした。

それからおよそ1年半、そろそろ復帰しようとしたところ、縁あってあるオーケストラの演奏会にのることになった。
曲目は、「ベートーヴェンの交響曲第3番」
担当するのはクラリネットの2ndだ。
感染対策のため、演奏するのは1曲だけという。
(とはいっても1時間近い曲なのだが)

この話をいただいた時、1年以上まともに楽器を吹いていなかったので受けようか迷いがあったが、やってみたいという気持ちが勝った。
オーケストラで交響曲(全楽章)を演奏するのは初めてだった。

学生の頃からずっと吹奏楽でクラリネットを吹いてきたが、社会人になってからオーケストラで吹く機会も何度かあったので、不安は少なかったと思う。

練習はとても楽しかった。
久しぶりのワクワクと緊張感。
ミスもするけど、みんなで1つのものを作り上げている充実感。
仕事終わりの練習で疲労感ももちろんあるが、好きな音楽をまた楽しめているのが嬉しかった。
スコアを買って何度も曲を聴きながら譜読みをしたのも久しぶりで、「あぁ、音楽好きだな」と改めて思った。

本番が近くなるにつれて、第5波が押し寄せてきてはいたが、感染対策をしっかりしたうえで無事に有観客で演奏会は開催された。

とても緊張した。
その緊張さえも懐かしく、嬉しかった。
眩しい舞台照明の熱気。
舞台から見える薄暗い客席。
演奏前のホールに残る空気の音。
クラリネットを持つ手が少し汗ばんでいた。

演奏会はあっという間だった。
久しぶりの拍手をもらって、その光景をみて、私は感動してしまった。
やっぱりお客さんあっての演奏会だと思ったし、恵まれた環境で演奏できることにも、お客さんが聴きにきてくれることにも、感謝の気持ちでいっぱいになった。
私にとって音楽は心の栄養だと再確認した。

まだまだ気の抜けない日々は続きそうだけど、早く気軽に演奏会ができる日々が戻ってくることを祈るばかりである。

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