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映画レビュー集【日本映画】

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日本映画の作品について書いたものを集めました。
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#映画感想文

【映画レビュー】『リリィ・シュシュのすべて』:一筋の希望の光さえ見えない陰鬱な絶…

 岩井俊二監督の作品では「ラブレター」がとても好きだ。悲しい話ではあるけれど、見た後に心…

MINAMI
2か月前
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【映画レビュー】『生きる』:もう少ししか生きられないと知っても生き方を変えられる…

 主人公は、がんになって自分の余命が長くないと知った、市役所勤めの公務員。彼は、それをき…

MINAMI
3か月前
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【映画レビュー】『街の上で』:人との距離感の難しさが風景に溶け込んでふわふわ揺れ…

 下北沢の街、いいなあ、住んでみたいなあ、と思った。  と同時に、人との人との距離感って…

MINAMI
4か月前
4

【映画レビュー】『夜明けのすべて』:職場での生活をきちんと描いた稀有な作品

 先にこの映画を観た人から、「職場や仕事をきちんと描いているところがいい」という話を聞い…

MINAMI
4か月前
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【映画レビュー】『永い言い訳』:何重にも深い人間の愚かさの闇

 「自分のことを大事にしてくれる人を手離してはいけない。失うときは一瞬だから」   妻が…

MINAMI
4か月前
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【映画レビュー】『水深ゼロメートルから』:露わな二本の脚が投げかけてくるもの

 チラシやポスターを観ると、女子高生たちの二本の脚に目が行く。形がいいとか、すらりとして…

MINAMI
5か月前
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【映画レビュー】『PERFECT DAYS』:平山は幸せなのだろうか…

 同じことが繰り返される日常。微笑みたくなることも少しあり、たまに心がざわつく出来事もある。それでも変わらず静かな毎日が続いていく……  画面に映し出されるのは、慎ましく、ささやかで、真面目な人生。そこまでは、この作品を見たほとんどの人が共有できるだろう。それほど、この作品の映像のメッセージ性は明確だ。  では、そんな人生をどう思うか? 良い生き方なのか、つまらない生き方なのか? 幸せなのか、不幸なのか? 満足なのか、寂しいのか?    そんな人生論的なことを問う映画ではない

【映画レビュー】『メタモルフォーゼの縁側』:マンガ以上に魅力あふれる作品

 ヒットマンガが原作となっている。  私は、マンガを人から勧められて読んだのと並行して、…

MINAMI
9か月前

【映画レビュー】『ラストレター』:みずみずしさにあふれた痛みと救いの物語

 雨上がりに青空が広がって、水たまりがキラキラ反射しているような感じ。そんなみずみずしさ…

MINAMI
10か月前

【映画レビュー】『まなみ100%』:描かれなかった時間に思いを馳せて

 10年間ずっと1人の女性(まなみちゃん)を思い続けたことを描いた映画である。それだけだ。…

MINAMI
11か月前
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【映画レビュー】『福田村事件』:人間の中にある「社会的なもの」と「私的なもの」

 総体的な話になるが、韓国映画は日本映画に比べて、力があるし、面白いと感じる。その一つの…

MINAMI
1年前

【映画レビュー】『愛について語るときにイケダの語ること』:もうすぐ死ぬことがわか…

 この映画について語るのは怖い気がする。何を言っても建前になってしまいそうである。本当の…

MINAMI
1年前

【映画レビュー】『台風クラブ』:多感で気高くて潔癖でもろくて弱い青春時代

 嵐が近づくと、なんとなく気持ちが高ぶってくるというか、揺れ動いてきたりする。そういう状…

MINAMI
1年前

【映画レビュー】『愛がなんだ』:「好き」の度合いはいつも不均等だから…

 恋愛ってぶざまだな、かっこ悪いな、つくづくそう思う。もちろんそうでない幸せな瞬間もある。それがあるから、みんな恋や愛の囚われの身になり、人生のかなりのエネルギーを費やすことになるのだろう。  けれども、恋愛って、たいていの期間は、思いが通じなくて悶々としていたり、嫉妬にかられていたり、時にはフラれて絶望の淵に落ちていたりする、苦しいものではないか。  その大きな要因は、お互いの好き度が違うことじゃないかなと思う。この映画を観て、改めてそう痛感させられた。まさに「痛い感じ」。