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映画レビュー集【日本映画】

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日本映画の作品について書いたものを集めました。
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記事一覧

【映画レビュー】『あの夏、いちばん静かな海。』:静かな海からいつまでも届き続ける…

 主人公の青年・茂は耳が聞こえず、話すこともできない。ごみ収集の仕事をしているが、ふとし…

MINAMI
2か月前
10

【映画レビュー】『リリィ・シュシュのすべて』:一筋の希望の光さえ見えない陰鬱な絶…

 岩井俊二監督の作品では「ラブレター」がとても好きだ。悲しい話ではあるけれど、見た後に心…

MINAMI
2か月前
15

【映画レビュー】『生きる』:もう少ししか生きられないと知っても生き方を変えられる…

 主人公は、がんになって自分の余命が長くないと知った、市役所勤めの公務員。彼は、それをき…

MINAMI
3か月前
5

【映画レビュー】『街の上で』:人との距離感の難しさが風景に溶け込んでふわふわ揺れ…

 下北沢の街、いいなあ、住んでみたいなあ、と思った。  と同時に、人との人との距離感って…

MINAMI
4か月前
4

【映画レビュー】『夜明けのすべて』:職場での生活をきちんと描いた稀有な作品

 先にこの映画を観た人から、「職場や仕事をきちんと描いているところがいい」という話を聞い…

MINAMI
4か月前
15

【映画レビュー】『永い言い訳』:何重にも深い人間の愚かさの闇

 「自分のことを大事にしてくれる人を手離してはいけない。失うときは一瞬だから」   妻が…

MINAMI
4か月前
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【映画レビュー】『水深ゼロメートルから』:露わな二本の脚が投げかけてくるもの

 チラシやポスターを観ると、女子高生たちの二本の脚に目が行く。形がいいとか、すらりとしているとか、そういう美的対象としての脚ではない。生々しくむき出しになった、加工されていない生の肉体としての脚である。  自分がそこにエロスを感じていない自信はない。それは、最初に自白しておく。どこまでがエロスでどこからそうでないかを線引きするのは難しい。  ただ、しかし、この映画は、そんな言い訳など吹き飛ばすように、二本の脚が「女らしさ」の視点で見られてしまうことに挑む。ひと言でいうなら、そ

【映画レビュー】『君たちはどう生きるか』:見たまま受け取るべき作品なのでは

 内容についての詳細が伏せられていたので、どんな映画かわからないまま観に行った。ほかの作…

MINAMI
5か月前
13

【映画レビュー】『14歳の栞』:自分だけでなく誰もがみんな必死に生きてる

 実在の中学校の、ひとクラスの35人全員を映し出しているドキュメンタリーである。ここ数年、…

MINAMI
6か月前
2

【映画レビュー】『PERFECT DAYS』:平山は幸せなのだろうか…

 同じことが繰り返される日常。微笑みたくなることも少しあり、たまに心がざわつく出来事もあ…

MINAMI
7か月前
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【映画レビュー】『カラオケ行こ!』:こういう映画いいね!

 たくさん笑って、少し泣いた。映画を見ていた2時間弱、現実世界でのいろんなことを忘れさせ…

MINAMI
8か月前

【映画レビュー】『勝手にふるえてろ』:かすかな希望にしがみつく姿は痛々しいです。…

 綿矢りさの原作小説を先に読んでいたのだが、小説とは全然違う印象を受けた。あれ、こんな話…

MINAMI
8か月前
1

【映画レビュー】『映画大好きポンポさん』:創作活動の本質と矛盾について考えた

 ポンポさんは、著名映画プロデューサーであった祖父のすべてを引き継いだ、凄腕映画プロデュ…

MINAMI
8か月前

【映画レビュー】『こいびとのみつけかた』:一緒にいることは難しいこと

 予告編を見て、一風変わったほのぼの系恋愛映画だと思っていた。そういう作品は好きなのだが、そんな作品ではなかった。映画の冒頭に「これはメロドラマである」という字幕が出るのだが、最後まで見たら、その意味がわかった。  主人公は、ちょっと感覚がずれていて世間になじめない、いわゆる「変な人」といわれそうな若い男性「トワ」。トワは、毎日通うコンビニの店員「園子」のことが好きだ。といっても、ただの客であり、一方的に思いを寄せているだけ……と思ったら、なぜか園子のほうもトワに惹かれていた