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映画レビュー集【日本映画】

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日本映画の作品について書いたものを集めました。
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記事一覧

【映画レビュー】『夜明けのすべて』:職場での生活をきちんと描いた稀有な作品

 先にこの映画を観た人から、「職場や仕事をきちんと描いているところがいい」という話を聞い…

MINAMI
3日前
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【映画レビュー】『永い言い訳』:何重にも深い人間の愚かさの闇

 「自分のことを大事にしてくれる人を手離してはいけない。失うときは一瞬だから」   妻が…

MINAMI
7日前
11

【映画レビュー】『水深ゼロメートルから』:むき出しの二本の脚が投げかけてくるもの

 チラシやポスターを観ると、女子高生たちの二本の脚に目が行く。形がいいとか、すらりとして…

MINAMI
10日前
1

【映画レビュー】『君たちはどう生きるか』:見たまま受け取るべき作品なのでは

 内容についての詳細が伏せられていたので、どんな映画かわからないまま観に行った。ほかの作…

MINAMI
4週間前
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【映画レビュー】『14歳の栞』:自分だけでなく誰もがみんな必死に生きてる

 実在の中学校の、ひとクラスの35人全員を映し出しているドキュメンタリーである。ここ数年、…

MINAMI
1か月前
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【映画レビュー】『PERFECT DAYS』:平山は幸せなのだろうか…

 同じことが繰り返される日常。微笑みたくなることも少しあり、たまに心がざわつく出来事もあ…

MINAMI
2か月前
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【映画レビュー】『カラオケ行こ!』:こういう映画いいね!

 たくさん笑って、少し泣いた。映画を見ていた2時間弱、現実世界でのいろんなことを忘れさせてくれた。ああ、こういう映画もいいものだなあ。  こういう映画のことを語るのは難しいかもしれない。 何かを語りたくなる映画ではない  綾野剛演じるやくざが、中学校の合唱部の部長を務める男子中学生に、カラオケボックスで歌をうまく歌う方法を教えてもらうという話。その理由は、組長が主催するカラオケ大会で最下位になると、変な刺青を掘られてしまうという、たわいもないことだ。  それ以上の特に大き

【映画レビュー】『勝手にふるえてろ』:かすかな希望にしがみつく姿は痛々しいです。…

 綿矢りさの原作小説を先に読んでいたのだが、小説とは全然違う印象を受けた。あれ、こんな話…

MINAMI
4か月前
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【映画レビュー】『映画大好きポンポさん』:創作活動の本質と矛盾について考えた

 ポンポさんは、著名映画プロデューサーであった祖父のすべてを引き継いだ、凄腕映画プロデュ…

MINAMI
4か月前

【映画レビュー】『こいびとのみつけかた』:一緒にいることは難しいこと

 予告編を見て、一風変わったほのぼの系恋愛映画だと思っていた。そういう作品は好きなのだが…

MINAMI
4か月前

【映画レビュー】『メタモルフォーゼの縁側』:マンガ以上に魅力あふれる作品

 ヒットマンガが原作となっている。  私は、マンガを人から勧められて読んだのと並行して、…

MINAMI
5か月前

【映画レビュー】『ラストレター』:みずみずしさにあふれた痛みと救いの物語

 雨上がりに青空が広がって、水たまりがキラキラ反射しているような感じ。そんなみずみずしさ…

MINAMI
6か月前

【映画レビュー】『まなみ100%』:描かれなかった時間に思いを馳せて

 10年間ずっと1人の女性(まなみちゃん)を思い続けたことを描いた映画である。それだけだ。…

MINAMI
6か月前

【映画レビュー】『福田村事件』:人間の中にある「社会的なもの」と「私的なもの」

 総体的な話になるが、韓国映画は日本映画に比べて、力があるし、面白いと感じる。その一つの理由として、社会の矛盾や自国の負の歴史といった、目を向けたくない、ときには、隠蔽されるような社会的なテーマをきちんと取り上げ、エンターテイメント性のある映画として仕上げているからだと思う。躊躇したり、遠慮したりしないからこそ、そういうことができるのだと思う。  この映画は、負の歴史と正面から向かい合っていて、ずっしり重いのだが、群像ドラマとしてもエンターテイメント性の高いものになっていて、