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むかしむかしハリウッドでこんなことがありましたとさ。


クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』をようやくDVDで観た。

タラちゃんはデビュー作『レザボア・ドックス』以来お気に入りの監督だ。『レザボア・ドックス』、『パルプ・フィクション』、『キル・ビル 2』の三本をオススメします。

【きっかけ屋☆映画・音楽・本ときどき猫も 第70回】

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は1969年の3日間を切り取り、その年に起こったシャロン・テート殺害事件をからめてハリウッドの光と影を描いたグラフィティーもの。

ベトナム反戦やヒッピー風俗やロック・レボリューションやアメリカン・ニューシネマの台頭。

70年代前夜でめまぐるしく時代が急変する。

たいした物語も語られていないのに2時間40分を飽きさせないのは画面の随所に流れる音楽、映画の立て看板、町をヒッピーたちが歩き回りアメリカの風俗が塗り替えられていったあの時代の匂いや気配が画面の随所に散りばめられていて油断が出来ないからだ。

その時代を体験した世代にはたまらなく愛おしい。

主人公は50年代テレビ映画の大スターと専属のスタントマン。

レオナルド・ディカプリオ演じる大スターが光でブラッド・ピット演ずるスタントマンが影。

ディカプリオもピットも往年のマッチョ感覚、男尊女卑感、勧善懲悪感が抜けきれずに時代にとり残されている。

テレビ俳優から銀幕のスターに変身したスティーブ・マックィーンやマカロニ西部劇で脚光を浴びたクリント・イーストウッドのように急変する時代をみごとに乗り切ることが出来た役者もいるが無数の乗り遅れ組がいた。

乗り遅れた往年のスターは新人スターが主役のテレビドラマに悪役で起用されることに甘んじるしかない。

なんとも切ない話だ。

光だった大スター、ディカプリオは時代にとり残されていることに焦りを感じているがピットはそんな時代をも楽しんでいるかのよう。

もともとスタントマンという影の存在なので光が当たらないことにはなれている。

ピットはこの作品で今年のアカデミー助演男優賞を受賞。

車で通りすがりに映画『ジョアンナ』の立て看板がさらっと流れるあたりは個人的には嬉しさもひとしお。

まるで妖精のように可愛らしいジュヌヴィエーブ・ウェイトが主演した『ジョアンナ』を60年代末に今はなき渋谷東急名画座で時間つぶしに入って偶然観た。

これが大アタリだった。

日本ではヒットせず今ではカルト映画扱いされている。

今ググってみたらジュヌヴィエーブ・ウェイトは去年亡くなっていた。

50年代英国ポップ風俗をふんだんに楽しめる『ジョアンナ』の主題歌とコケティッシュなジュヌヴィエーブ・ウェイトの可愛らしさを楽しめないと単なるB級映画に見えてしまう作品だ。

最後までお読みいただき有難うございました。

次回もお寄りいただければ嬉しいです。


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2002年から書き始めたブログ「万歩計日和」です。


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