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パンデミックに襲われた過去をもつ人口3人の村に建てられた歴史博物館。

ここ2、3年ほとんどテレビを見なくなったが新型コロナウイルスで世の中がざわつき始めた頃から報道番組を見ることが多くなった。

とは言えそろそろ毎回同じような話題で空回りしている報道番組に飽きたのでザッピングしたときに手が止まったのがNHK BSプレミアム「世界の山岳鉄道~列車は天空をめざす~ アンデス越えてインカの都へ~ペルー南部鉄道850km~」。

【きっかけ屋☆映画・音楽・本ときどき猫も 第85回】

リポーターの関川夏央さんが心から旅を楽しんでいることが画面から伝わってくるので最後まで見てしまった。

このところ新型コロナウイルスの影響で多くの新番組の制作が足止めを喰らったために急ごしらえのスペシャル番組や再放送が目立つようになったけどこの番組も2001年に放送されている。

天空の町マチュピチュに向かう道路はないので山岳鉄道に乗るしかない。

番組が始まり30分ほどたってから見たのでぜひ再放送を望みたい。

2回目が「世界の山岳鉄道~走れ大峡谷を縫って~中国 成昆鉄道1100キロ~」。

ぼくたちの生活とはかけ離れた暮らし方をしてる山岳鉄道沿いに住む人達の顔に刻まれたシワがなんとも魅力的だった。

三回目の「世界の山岳鉄道~白夜のフィヨルドを走る~ノルウェー・ベルゲン線とフロム線~」を今日見た。

お〜〜ベルゲン!

1982年夏の一ヶ月をかけて白夜のスカンジナビア半島を一周したことがある。

もちろん仕事で。

その時にノルウエーの港町ベルゲンに寄った。

と言っても大昔のことなので町並みは思い出せない。

スカンジナビア半島の風景で今でも頭に浮かぶのは初めて目にしたときにあっと目を見張ったフィヨルドの絶景だ。

ぼくは旅が苦手だけど三回ほど長期海外取材旅行にでかけたことがある。

その中の一回がヨーロパ最北端にある北岬を目指して車で白夜のスカンジナビア半島を一周する旅だった。

デビュー直後の石原真理子の写真集を撮影するために集めた7名のスタッフともども二台の車に分乗した取材旅行だ。

生野菜が一切見当たらない北欧では毎日ニシンの酢漬けとジャガイモを食べマックとコーラで1,000円もする高い物価と戦い夜中になっても日が沈まないので撮影をやめないカメラマンのしぶとさに驚きお酒と言ったら売り場にはウォッカしか見当たらなかった一ヶ月間の珍道中は電子書籍『きっかけ屋アナーキー伝』でお読み頂けます。

まっ、そんなことより「世界の山岳鉄道~白夜のフィヨルドを走る~ノルウェー・ベルゲン線とフロム線~」。

周囲が美しくも巨大なフィヨルドに囲まれた内陸の海辺にあるスティビィという村が素敵だった。

老夫婦と友人が住む人口たった3人の村(2001年当時)。

中世には1,000人以上が住んでいたこの村は1350年に大流行したペストに襲われて生き残ったのが7人。

1348年から1350年にかけて大流行したペストでは当時のヨーロッパの人口の三分の二にあたる2,000万人以上が死んだ。

この数字にはペストによる病死や食糧不足による餓死だけではなく、集団匕テリーに陥った群衆による殺人も含まれているという。

いわゆる魔女裁判だ。

残念ながら日本未公開だが世界史上もっとも有名なこのパンデミックを描いた英独合作映画『Black Death』は2010年に公開されている。

スティビィ村は全滅して以来150年間誰も住まなかったが1800年には32人が住んでいたというのはご老人の証言だ。

老人は自宅の隣に古くからノルウェーに伝わる文化(ヴァイキング)を残すために当時の道具などを飾った小さな博物館を運営している。

巨大なフィヨルドに囲まれた海辺にあるちっぽけな村に建てられた私設歴史博物館。

とても素敵な話だと思う。


最後までお読みいただき有難うございました。

次回もお寄り頂ければ嬉しいです。

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2002年に書き始めたブログ「万歩計日和」です。



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