note_7_ゲンキチ

ときどき猫の話題にも触れますが・・・


昨日アップした感想文の中の「アルプスの山の中で、氷を取っておさけを冷やしていた所」とは、気球に乗った二人がアルプス越えをする時に山頂の雪をすくってシャンペンを冷やし、旅のスタートを祝うシーンのことだ。

大画面いっぱいに広がる雄大なアルプスの間に間に漂う小さな気球。

気球から体を乗り出して執事のパスパルトゥーが山頂に積もった雪をすくいとるシーンに、後にテレビの「兼高かおる世界の旅」のテーマ曲でおなじみになるヴィクター・ヤング作曲ヴィクター・ヤング・オーケストラ演奏による「アラウンド・ザ・ワールド」がゆったりとかぶさる。

思い出深いシーンだ。

【きっかけ屋☆映画・音楽・本ときどき猫も 第7回】

さて肝心の二人の旅はどうかといえば、インディアンの襲撃をうけて命からがら大陸横断鉄道でシカゴからニューヨークに到着したのは、予約したイギリス行きの蒸気船が出港した45分後だった。

ボルドーに向かう小さな商船にリバプールまで向かってくれと申し出るが、行先を変更することは出来ないと断られ渋々乗船。

航海の途中乗組員を買収して船を買いとり、全力でリバプールに向かうために船内にある木材をすべて燃料にして、ほとんど骨格だけになった外輪船はリバプールに到着する。

二人は急いでロンドンに向かうが予定の列車に乗り遅れ、ロンドンに着いたのは午後8時55分。約束の時間に5分遅れてしまった。

この瞬間フォッグは全財産を失った。

翌朝、新聞を買いに行ったパスパルトゥーは日付を見て狂喜する!

今日が締め切り日だったのだ。

緻密に計画をたて、多くのトラブルを乗り越えてきたフォッグは一つだけ大きなミスをおかした。日付変更線を忘れていたのだ。彼らは東廻りで世界一周したために丸一日儲けていた。

今晩の8時50分が締切だ。

賭けに勝ってめでたしめでたし。

全編に笑いが充満する波乱万丈な旅を描いたこの映画の中でぼくが一番好きなシーンはほぼラストのこんなシーンだ。

大西洋上、燃料に使える木材が船内からなくなったため、大富豪はステッキと山高帽を燃えさかるボイラーに投げ入れる。

英国貴族の象徴であるステッキと山高帽を燃やすのは敗北を意味する。

こどもながらも「にくい演出だな~」とニンマリしたことを覚えている。

その直後「リバプール港が見えたぞ~」という声が船内に響きわたる。

ジュール・ヴェルヌは大の旅行嫌い。

百科事典と時刻表と地図をもとに一歩も外出することなく、この物語を書き上げた。

何ヶ月か後に仕事を終えて散歩に出たヴェルヌに向かって近所の人たちはこう声をかけたという。

「ヴェルヌさんお久しぶりです。今回はどこにご旅行にいらしてたんですか?」


ところで毎回トップページの写真はウォーキングついでに撮っているノラちゃんたちです。

猫との同居は結婚直後から30年続きました。

その間同じ兄妹でも随分性格がちがうことをまざまざと見せつけられました。

本日の写真は我が家の猫でもっとも長生きしたげんきち君です。

13年前に23歳で静かに息をひきとりました。

23歳となるとまるで仙人のようでした。

彼らの思い出ばなしなどもおいおい書いてみようかなと思っています。

ということで本題に戻ります。

幼馴染が小学校時代の文集を送ってくれたことで思わぬ記憶を呼び起こされてしまった。

今の時代は自分の過去を見たり聞いたりすることが簡単に出来る。

生まれた瞬間からビデオに記録された自分の姿を見られる人もたくさんいるけれど、ぼくと同世代の人たちにとって幼い頃の記録といえば、せいぜいモノクロ写真ぐらいしかない。

ぼくの場合はオヤジの仕事の関係で我が家には8ミリカメラがあったので、小学校時代の自分の姿を見ることができるが、音は記録されていない。

ところがある日ぼくは60年前の自分の声と対面することができたのだ。


この続きはまた明日。

明日は61年前の自分の声と出会ったときの話などです。

明日もお寄り頂ければ嬉しいです。



連載第一回目はこちらです。
ここからご笑覧頂ければ嬉しいです。
第1回 亀は意外と速く泳ぐ町に住むことになった件


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