みずどり

短い文章をたくさん書こうと思っています。よろしければコメントやアドバイス頂けると嬉しい…

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短い文章をたくさん書こうと思っています。よろしければコメントやアドバイス頂けると嬉しいです。

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ショートショート「曇りガラスの向こうは」

現実を見るのは辛く悲しい、 ただ、時に想像は、現実に夢を見させる 想像の世界は華やかだ、そしてあたたかい 曇りガラスの向こうに青く晴れた空を想像する 右から左へ颯爽と通り過ぎる黒い影は、鷹か、鷲か、 今日のぼくならきっと見えるはずだ 想像が現実になる気がしてるんだ 半分強がりの自信を持って窓を開けたぼくの目に飛び込んだのは どんよりとした曇り空と、真っ黒なカラスであった

    • ショートショート「青い星のスポーツ大会」

      いろいろな見た目の いろいろな考え方を持った人たちが いろいろな場所で いろいろなことをしている そんな星がある 60年くらい前だっただろうか この星で初めて宇宙へと飛び出した人物が残した言葉は 「宇宙は、青くなかった」 だった この星には、青色しか無い 海も空も山も森も 人も動物も虫も 全てが青い 最近、この星で最も大きなスポーツの大会が開かれた 青色の5つの輪がシンボルだ この大会では、参加した全員に青色のメダルが配られる 「1位も2位も、

      • ショートエッセイ「ラスト・オニギリ」

        小学6年で行った林間学校 ぼくにとって初めての2泊3日の旅でした 2泊するということは、2日目は完全に山の中で過ごすことになります 家に帰れない そして何より、母のごはんが食べられない それがとても寂しく、怖かったのを覚えています 1日目のお昼ごはんは おにぎりを持参するという決まりになっていました 「次に母のごはんを食べられるのは明後日の夜か」 ラップに包まれた特大おにぎりを3つ 丁寧に、ゆっくり、味わいました 親元を離れたいま 最後に食べた母の料理

        • ショートエッセイ「あなた、いい形容するねぇ」

          高校生の時 翌日に行われるオープンスクールのために、体育館に椅子を並べていました 椅子の上には、学校のパンフレットやチラシ、当日の日程表など 何種類かの紙を一枚ずつ置いていきました どの椅子にどの紙を置いたか分からなくならないように 端っこから1種類ずつ丁寧に置いていきます たまに2枚置いてしまって、慌てて隣の椅子に置き直したりしながら 全ての椅子に同じ紙を同じだけ置いていきます 広い体育館で、椅子の数も相当ありました でも、何故か疲れない、なんなら楽しい

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        ショートショート「曇りガラスの向こうは」

          ショートショート「消しゴムを食べたあの日」

          ぼくは毎日、晩ご飯の写真を撮っていて その枚数はそろそろ500枚を超える このフォルダは、ぼくにとって日記のようなものだ 先日久しぶりに、このフォルダを見返してみた すると、一枚の写真が目に入る 黒いお皿の上に、角の少し丸まった消しゴムが一つ 思い出した 買い物に行くのを忘れて、仕方なく食べたんだった 毎日色を変えれば、味にも飽きないし、栄養も偏らない ぼくは棚から緑色の輪ゴムを取り出した 今日は金曜日だ、フライにして食べよう

          ショートショート「消しゴムを食べたあの日」

          ショートショート「夢の中でウォーリーをさがせ!」

          「ウォーリーをさがせ!」を読んでて なかなかウォーリーが見つからない時 ウォーリー描き忘れてるんじゃないの? と思いますよね      この間、テレビのリモコンを無くしました カバンの中もつくえの中も探したけれど 見つかりませんでした リモコン、ごみに出しちゃったんじゃないの? と思いながら まだまだ探しました 休むこともなく、笑うこともなく、はいつくばって探しました 探すのをやめた瞬間に見つかることもよくある話なので、 ぼくは探すのを諦め、ジュースを

          ショートショート「夢の中でウォーリーをさがせ!」

          ショートエッセイ「インタビューな独り言」

          ぼくはよくインタビューを受ける妄想をする そして、必ず 「そうですね、あのー」 で答え始める プロ野球のヒーローインタビューで 選手が必ずこれを使うのに影響されたんだろう 大人気のミュージシャンになった妄想とか、 ノーベル賞を獲った妄想とか、 オーソドックスな物もよくやるが 例えば、 「今日の晩ご飯の出来ですか?  そうですね、あのー、  まあ、いつも通りの味がしっかりと出せたと思い   ます」 とか、些細なことをインタビュー形式で振り返るみたいなこ

          ショートエッセイ「インタビューな独り言」

          ショートエッセイ「返さなくていい物」

          学生時代というのは 筆箱を忘れた人が、周りの人から少しずつシャーペンや消しゴムを借りる とか 忘れた教科書を隣のクラスに借りにいく とか 忘れ物を貸す、借りる系の思い出が沢山ある ぼくはそのどちらもよくやっていた覚えがある 冬の寒い日 隣の席の友人が、カイロを忘れたと言った ぼくはいつも2個持ちしていたから その友人に一つ渡してあげた 授業が終わり、部活に行こうと荷物をまとめている時 「カイロありがとう」 と言って、友人がまだほんのり暖かいカイロを

          ショートエッセイ「返さなくていい物」

          ショートエッセイ「通学自転車が似合う人」

          ぼくは高校生の時自転車通学でした リュックを背負い、部活のバッグをカゴにいれるというスタイルだったのですが お店のガラスや車に反射しているその見た目がなんともダサかったのです サドルの高さを変えたり リュックの紐の長さを変えてみたり ちょっと猫背になってみたり いろいろ工夫したのですが とうとう3年間、納得のいく見た目に辿り着けませんでした あの人たちとの違いはなんだったのでしょう 自転車に乗る姿が様になっていたあの人たちは どれだけの研究を積み重ね あ

          ショートエッセイ「通学自転車が似合う人」

          ショートエッセイ「鳥居の上の石」

          近所の神社の鳥居の上 小さな石がたくさん乗っています 石を乗せたら願いが叶うという言い伝えがあるからです 昔はぼくもよく投げて乗っけていました 鳥居の真下に立って垂直に投げるという裏技も身につけて、 何を願いながら投げていたのかははっきりとは覚えていませんが 魔法が使えるようになりたいとか、 空を飛びたいとか、 そんな非現実的な願い事だったと思います あの頃は楽しかったな という思い出が蘇ってきます 大きくなって、久しぶりに神社に行ってみました 身長が

          ショートエッセイ「鳥居の上の石」

          ショートショート「ネット民な蛙」

          井の中の蛙です、 大海のことはネットで調べたことがあるので 大体は知ってますし、 写真とかもあるから、 別に行かなくてもいいかなって思います。 あたかも大海を泳いでるかのような感覚になれる VRゲームもあるみたいなんで

          ショートショート「ネット民な蛙」

          ショートエッセイ「ビニール袋のお米」

          一人暮らしにようやく慣れ始めたくらいの時のことです。 お米がなくなったので、大学の帰りにスーパーに寄りました。 どれにしようかなと棚を眺めていると、 エプロンをつけたおばちゃんが話しかけてきました。 「これ、食べてごらん」 試食用の小さいおにぎりをくれました。 「どう?美味しい?」 自信満々に聞いてきます。 正直いつも食べていたお米との違いは分からなかったですが、美味しいことは確かだったので、 「美味しいですね、買います。」 と言い、5キロを一袋貰いました

          ショートエッセイ「ビニール袋のお米」

          ショートエッセイ「お待たせしました、松井さん」

          大学の生協に、修理に出していたパソコンを受け取りに行った時のことなんですが、  店員さんに、 「パソコンを修理に出していました、田中(仮名)です。」 と声をかけると、 裏に行って、研修中と書いた札をつけた新人アルバイトさんを連れて帰ってきました。 「カウンターに来られた方には、まずご用件を聞いて、必要ならお名前を聞いた後、この書類にサインをもらってください。」 新人アルバイトさんに丁寧に教えています。 「今回はもうお名前まで伺ってるから、ちょっと横で見ててくださ

          ショートエッセイ「お待たせしました、松井さん」

          ショートエッセイ「締め切りぎりぎり」

          定期試験のとき、早く終わった人から提出していいよ、ということがよくあります。 ぼくは毎回時間いっぱいまで提出しません。 残りが自分1人だけになっても、何回も見直しをします。 絶対合ってるところも、何回も見直します。 もちろんいい成績を取るため、という理由もあるんですが、 それよりも、時間を残しておいて、解答が返ってきたときにミスが見つかるのが「怖い」んです。 時間いっぱいになれば、 「時間切れになったから」という言い訳ができるんです。 同じような理由で、課題の

          ショートエッセイ「締め切りぎりぎり」

          自己紹介

          いろんな学部から人が集まってグループを組んで行う授業。まずは自己紹介から始まる。 1人目、金髪男子。 「〇〇です。こんな見た目ですが、怖い人ではないです。」 2人目、1人目よりも金髪な男子。かぶせてきた。 「△△です。ぼくもこんな見た目ですが、怖い人ではありません。趣味は料理です。」 かぶせの笑いと、料理が趣味というギャップの笑いで場が和む。 3人目、自分。黒髪の自分。3回目となるかぶせ、しかも黒髪でこのセリフ。ここで天丼を披露すれば、一気に優位に立てる。イケイケな同級

          自己紹介