ショートエッセイ「ラスト・オニギリ」
小学6年で行った林間学校
ぼくにとって初めての2泊3日の旅でした
2泊するということは、2日目は完全に山の中で過ごすことになります
家に帰れない
そして何より、母のごはんが食べられない
それがとても寂しく、怖かったのを覚えています
1日目のお昼ごはんは
おにぎりを持参するという決まりになっていました
「次に母のごはんを食べられるのは明後日の夜か」
ラップに包まれた特大おにぎりを3つ
丁寧に、ゆっくり、味わいました
親元を離れたいま
最後に食べた母の料理が思い出せません
昨日の晩御飯
何度も味見をしながら完成した親子丼は
母の味に少しだけ似せることができました
少しでも早く、
何の心配もせずに、気持ちよく故郷に帰れる日が、
くればいいなと思います
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