ショートエッセイ「あなた、いい形容するねぇ」

高校生の時

翌日に行われるオープンスクールのために、体育館に椅子を並べていました

椅子の上には、学校のパンフレットやチラシ、当日の日程表など

何種類かの紙を一枚ずつ置いていきました

どの椅子にどの紙を置いたか分からなくならないように

端っこから1種類ずつ丁寧に置いていきます

たまに2枚置いてしまって、慌てて隣の椅子に置き直したりしながら

全ての椅子に同じ紙を同じだけ置いていきます



広い体育館で、椅子の数も相当ありました

でも、何故か疲れない、なんなら楽しい

理由を考えてみたら、すぐに思いつきました




「たこ焼き作ってる時みたい」





小さな声でつぶやいたはずでしたが、

後ろにいた国語の先生に聞かれていました




「あなた、いい形容するねぇ、

 たしかにそうだ、たこ焼きみたいだねぇ」



面識のない先生でしたが、2人で笑いました 





「明日ここに人が座れば、

 あとはひっくり返して丸くするだけだねぇ」


「そうですね、楽しみです」



今でも、たこ焼きを食べるたびに思い出します




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