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【 Orega Diary ver 027 この世界から、さよならする旅人のことを、深く深く想像してみたんだよね、な、話し 2020 】



木を彫り続けていると。

一点にこころを集中して、木を彫り続けていると、

なんていうのかな、こう、瞑想状態みたいな感じになるんだよね。

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すると、なんか、こう、なにかが、降りてくる感覚あるんだよね。

それは、もしかしたら、幾多の世界を流れてきた、流木の意志なのかも知れない。

流木が、大海のなか、ひとりで、思った、何かなのかも知れない。

そんなこと、感じるときあるね。

だから、ただの、木では、ダメなんだよね。

流れてきた木、世界を流浪してきた、流木じゃないと、ダメなんだよね。

うん。

-

今日も、朝から、彫っていたんだけど、

なんか、きゅうに、わかった。

あ、これだ、あ、この、感覚だ。

というのが、あった。

-

それは、この世界から、さよならするひとの、気持ちなんだよね。

これはねえ、なんか、こう、明確にわかった。

うん、わかった。

自分のなかに、みごとに、眠ってた。

うん、僕のなかに、昔、あったものだった。

-

でも、たぶんね、たぶんだよ、やっぱり、僕、死んだことないからね。

だから、たぶん。

-

”あ、もう、ここでいいや。”

-

これなんじゃないかな。

これが、さよならするひとの、感覚。

昔、ひどく、ひどく、疲れて疲れて、もう、ダメだ、というくらい、疲れたときがあって、

そのときに、僕は、こう、思ったんだよね。

”あ、もう、ここでいいや。もう、歩けないよ。”

-

おそらく、これなんじゃないかな。

うん、なんか、さっき、そう思ったんだよね。

-

こう思ったときは、不思議なんだけど、なんの、恐怖とかもなくて、

ただただ、神様、もう休ませて、もう、眠らせてもらって、いいかな、

って、ばったりと、床に倒れながら、全身の力を抜いて目を閉じてた。

もしかしたら、死ってそういうものかもしれない。

とくに、恐怖はなかった。

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幸いにして、僕は、生き続け、また歩きはじめたんだけれど、

さよならする、ひとは、そのまま、そこで、旅を、終わらせたんじゃないかな。

ただ、それだけのことなんじゃないかな。

-

うん、きっと、ただ、それだけのことなんだよ。

だから、ゆっくり、休ませてあげれば、いいんじゃないですかね。

お疲れさまって。

また、いつか、会える日まで。

-

Mizuho

202001011

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