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【シロクマ文芸部】赤い傘・140字小説



「赤い傘を持ってるわ」
女との待ち合わせの目印だ。アプリで知り合い、毎日メッセージのやり取りをした。

俺に落とせない女はいない。実際に会って完落ちさせて、貰う物は貰ってやる。

待ち合わせ場所に女はいた。白いワンピースに赤い傘を持って。
「やっぱりあんただったのね」
女は黒い物を取り出した。


赤い傘が雨粒を受け止めている。私を受け止めてくれる人はまだ来ない。大きな雨粒が私の足先を濡らしていく。

青い傘が雨粒を弾かせながら駆けてくる。赤い傘と青い傘は重なり合って、夜の街へ消えていく。ほんの束の間だけ私を受け止めてくれる人。愛と罪悪感を感じて、また私はひとり濡れて街を歩く。


赤い傘と赤いランドセル、そして赤い長靴。
赤が好きなあの子の初めての雨の登校。
集合場所まで送っていくと、上級生があの子の手を繋いでくれた。

赤い傘をさしたあの子の背中を心配しながら見送った。

今、そんなあの子は赤い車で出勤する。
大人になったあの子の背中にエールを送る。
今日も仕事頑張れ!

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シロクマ文芸部に参加します💛
今週のお題は「赤い傘」です。

今回は140字小説をみっつ書きました。
一応、趣向を変えてみました!



今日も最後まで読んで下さってありがとうございます♪

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