[ショートショート]夏祭りは夢の中に
ぴろん♪
lineが入ったみたいだ。誰からだろう?通知画面を見た私は、目をこすって画面を二度見した。
lineの主はしょう君だ。
しょう君は学生時代の友人だ。友人、とはいっても私は彼に片思いをしている。そのしょう君から私にいったい何の用があるというのだろう。
しょう君からのラインには「来週の夏祭りに2人で行こう」と書いてある。
え?2人で?私と一緒に、夏祭り?
私の頭の中は?でいっぱいになった。
とりあえず、「行く!楽しみにしているね☆」とかわいいスタンプも添えて返信をした。
2人で夏祭りに行くってどういう事なんだろう?今まで2人で出掛けた事なんて無かったのに。でも、行くとなったら私にはする事がいっぱいある。
浴衣の着付けを動画で練習する。
浴衣に合うバッグと下駄、ヘアアクセを買う。
美容院とエステに行く。
まずは、着付けの練習だ!
夏祭り当日。
5時に待ち合わせをしている。4時過ぎには出掛けたいから、逆算して準備を始める。
メイクをして、髪の毛をセットして、いよいよ浴衣を着る。何回も練習したから大丈夫。浴衣を着た私は、いつもと違って見える。
しょう君にかわいいって思ってもらえるかな?
さぁ、時間だ。出掛けよう。
待ち合わせ場所には、10分前に着いた。すると、しょう君がいた。
「しょう君。早かったんだね!」
「おう!みかに会いたかったから。」
「ほんとかなぁー。」
私たちはゆっくり歩きながら、夏祭りのある神社に向かった。
神社にはたくさんの露店が出ていて、とても賑やかだ。たくさんの人もいる。そんな中で、私としょう君はどんな風に見えているのだろう。
まずは、飲み物を飲みながら少し休憩。
しょう君に会うのは久しぶりだったから、何から話そうか。
お互いの近況や仕事の事、話す事は尽きなかった。そんな中、しょう君が私に聞いた。
「みかは、誰か付き合っているやつ、いるの?」
「ううん、いないよー。しょう君は?」
「え、俺?いないよ。いたら、みかと夏祭りなんて来ないでしょ。」
しょう君は、いわゆるイケメンといわれる人だ。身長も高く、細マッチョな体形の上に性格もいいから、とにかくモテる。そんなしょう君のこのセリフ。いったいどう理解すればいいのか。
露店を覗き、2人でかき氷を食べた。冷たくて、甘いかき氷。2人で1つのかき氷を食べるなんて、まるでカップルみたいだ。
暗くなってきた。
今から花火があがるらしい。
ひゅーー、ドーン。
大きな花火だ。色とりどりできれい。
2人で静かに花火を眺める。そして、何発かの花火があがった時しょう君が私の耳元で言った。
「みか。・・・・・・。」
え?花火の音で聞こえない。でも、まさか、まさか、ね。
「しょう君。なんて言ったの?聞こえない。」
しょう君は、今度はもっと大きな声で耳元で言ってくれる。
「みか。俺、お前の事が・・・。」
私はがばっと起き上がった。
起き上がって周りを見渡した。ここは、私の部屋。いつものパジャマに見慣れた景色。
「なんだ、夢かぁ。そーだよね。」
少しがっかりしてベッドから出た。
お水を飲みながら考える。
さっきのは、夢だったけれど。私、行動してみようかな。もしかしたら、正夢になるかもしれないしね。そして、浴衣の着付けを練習しよう。
浴衣がちゃんと着られるようになったら、しょう君に連絡してみよう。
ベランダに出て、うーんと伸びをした。今日もいい天気だ。
その時だ。
部屋に置いていたスマホがぴろん♪と鳴った。
いったい誰からだろう。え?まさかね。まさかのまさか?
この記事は、riraさんとxuさんの企画「夏のショートショート」に参加しています☆
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