宮戸川

馬鹿馬鹿しさ 解き放つ

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最近の記事

藤井棋聖おめでとうございます。

    • 丸山九段の解説会に行った(2018)後編

      「大変お待たせしました」 休憩あけの初手、18時2分に丸山が発した言葉である。2分は「大変」だという気持ちで観客に向き合う丸山による、次の一手クイズの抽選。私は見事次の一手を当てるも7人中6人が当選する抽選に外れたため人間性を歪めた。 参考画像:私が欲しかった物 丸山は「永瀬さんと渡辺さんの勝負は面白いんで私ももう一局見たいから、今日は永瀬挑戦者応援になっちゃうんですけど、ヘへッ」と永瀬の応援をして、19時31分、永瀬が勝った。 将棋会館道場のブログに「対局が早く終了した

      • 丸山九段の解説会に行った(2018)前編

        「お待たせしました」 解説会開始時刻17時ぴったりに登場した丸山の第一声である。 定刻に現れ誰をどれだけ待たせたつもりかと不思議に思う方のために説明しよう。これは「2015年3月から今日まで、約3年間お待たせしました」という意味である。 第43期棋王戦第4局大盤解説会、将棋会館道場の案内には「解説にはお久しぶりのあの方が登場」と記されている。3年ぶりだからね。そして3年前の案内には「解説 丸山忠久九段(久しぶりの登場です!)」とあった。「たらちね」なら「母」であるように「久し

        • 質問の答え

          ~数ヶ月前、喫煙所にて~ 宮戸川(以下、宮)「バトルさんの新刊発売イベントはあるんですか」 森「考え中です」 宮「イベントやって欲しいよぉ、おら、馬鹿馬鹿しいイベントに行きたいよぉ」 森「そうですか…」 ~数週間前、酒場にて~ 宮「イベントが楽しみすぎて眠れない」 後藤(以下、後)「質問コーナーやりますよ」 宮「Twitterで質問の募集をしてもいいですかね」 バトルロイヤル風間(以下、バ)「それはいいけど、当日ビール用意しておいて」 このような経緯で、イベントの前にTw

        藤井棋聖おめでとうございます。

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        • 日常の巻
          3本
        • 棋士と眼鏡と苺クイズの巻
          6本

        記事

          羽生のおかげで

          あなたにとって大切なものは何ですか。 私は何より心の平安を大切にしている。人間関係、特に恋愛は心を乱すものであるから遠ざけておきたいという考えに基づいて私は孤独なのであり、容姿に多大なる難があるとか性格が鬼や悪魔に近いとかひたすら酒に溺れているとか、そういう現実を主な理由として独身なわけではないとここに主張する。 とかく争いを好まない私が将棋という必ず勝ち負けがある世界を愛してしまった。 私は心の平安を第一にしながら将棋観戦を楽しみたい。 ああ、確かに私は三浦を少し

          羽生のおかげで

          予告編

          どはドーナツの「ど」、れはレモンの「れ」、みは三浦の「み」、もは森内の「も」、もっと貴方を知りたいの「も」、毛量が多いの「も」、桃を貰ったら本当の本当は絶対に独り占めしたいけれど森内にならば少しお裾分けしても構わない気分の「も」、もしかしてpartモリウチの「も」… 森内は四隅を丸く縫われたタオルハンカチに似ている。タピオカ入りドリンクについてくる太いストローに似ている。山のお寺の鐘に似ている。 真顔と笑顔の画風が物凄く違う。真顔の作画は井上雄彦で、笑顔の作画は水森亜土。

          パーマネント

          さよなら霜月こんちは師走。 今年の出来事をまとめたくなる季節。将棋界には何があったかなあ。 三浦の入籍発表、三浦のJT杯初優勝、三浦が14期連続在籍していた順位戦A級から陥落するも、現在B級1組で5勝1敗の好成績を収めており1期でA級に復帰するのではという予感……長くなるので三浦のことは宝箱に仕舞っておいて……。 2015年、将棋ファンの間で大きな話題となったのが豊島イメチェン騒動。 この夏、豊島は眼鏡と髪型を変えた。そのイメージチェンジは、一部の豊島ファンが語る(のを私は

          パーマネント

          道草をもりもり食う

          棋士には格好良い名を持つ者が多い。「浩司」「善治」「俊之」「真隆」「哲郎」なんて、いかにも理知的。「忠久」「弘行」の古風な美しさに「尚史」「章人」の爽やかな響き。「明」は明るい。 通常、棋士は姓にタイトルまたは段位をつけて呼ばれるため、名の印象はあまり強くない。しかし、名で呼ばれがちな男たちがいる。 日本将棋連盟最大派閥である佐藤組の構成員である。 棋士番号のある佐藤が10名、現役に6名の佐藤がいるが、何の注釈もなく「佐藤さん」といえばそれは佐藤組の長、佐藤康光のことだ。康

          道草をもりもり食う

          一枚の色紙 その3

          三度目の色紙画像。 バランスがおかしいでしょう?ねえ、どうしてこうなるの? 羽生の色紙に見られる、配置の妙。その字は色紙の中央にない。左下に寄っている。寄りすぎている。 左下には何がある?将棋盤に照らし合わせたそこにあるのは、居飛車の囲いである。玉である。玉が囲われた、四角の左下に重さがある形を美しいと羽生は認識しているのだ。羽生の将棋脳。 そのような美意識をもってしても、実際に書き上げた色紙を目にしたら、バランスがおかしいなって、真ん中に書こうって思うよね、普通。しか

          一枚の色紙 その3

          一枚の色紙 その2

          羽生も書の稽古はした。した結果、これでよしとした。 費やす時間や労力を縦軸に、字の上達を横軸に据えた曲線上で、この地点がもっともコストパフォーマンスが高いと判断したからである。 見切り。 時間を費やせばより良い手が見えるかもしれない。しかし、限られた時間の中で見切る、そして勝つ。盤上に我々が知る最善の見切りを、人生においても羽生は常に下してきた。色紙の上でも。 努力を重ねても木村一基のような100点の字は書けないことを、日本一賢いからこそ知っている。 しかし、労力と上達

          一枚の色紙 その2

          一枚の色紙 その1

          羽生善治は将棋がやたらと強い。 行方尚史が挑戦者となった名人戦、解説会場に両者のプロフィールが貼られたが、行方の棋歴は用紙一枚に余白を残すも羽生のそれは用紙三枚に及び、並べられた行方がちょっと可哀想だったくらい強い。 強いからお金持ち、趣味はチェスと寄付、周囲の誰もが褒め称えずにいられぬ人格者で、眼鏡の下の豊かな睫毛に縁取られた大きな瞳は鋭く対局相手を見据え、トップアイドルのハートを射抜く。婚約発表から20年にして妻を「りえちゃん」と呼ぶ円満な家庭の主は、おみくじをひけば大

          一枚の色紙 その1

          ある日、私が投げつけられたもの

          『透明の棋士』(ミシマ社)刊行記念イベントに行ってきた。 一年程前にこの本の企画を著者の北野氏に伺った際、刊行の暁には是非トークショーをと私は勢いよく北野氏の前に土下座し、彼の靴の裏を舐めて懇願した。私の両膝の擦り傷という犠牲の上に、この夜のイベントは開催された。あの泥の苦さを、舌を削る砂のざらつきを思い出しながら、私は新宿へ向かった。話の彩りに少しばかり脚色したが、そういう事情で大層楽しみにしていたライブトークのことを、著書北野新太氏、ゲスト瀬川昌司五段、本田小百合女流三

          ある日、私が投げつけられたもの

          将棋回文のススメ

          回文とは「トマト」「しんぶんし」です。 世には計算された美しい回文もたくさんありますが、私は回文の、無理をした結果馬鹿馬鹿しい文章になりがちなところが好きです。 (以下の文章中の回文は全て自作ですが、かぶっていたらごめんね。清濁一致のみ、読みに濁点をつけます) 回文に登場する人物は、何とか逆さにならんと、食器を見て「お椀、ワオ!(おわんわお)」と無意味に叫び、「即糞(そくくそ)」をし、「僕は久保(ぼくはくぼ)」とつたない自己紹介を繰り返し、「佐藤ー土佐(さとうとさ)」と

          将棋回文のススメ

          誰もが羽生を好きだから

          将棋ファンの皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。 私は「ロマンスの神様」の「Boy Meets Girl」ってところが「棒銀だっ」と聴こえる病気になりました。 ♪棒銀だっ 対ハム将棋なら銀と3歩で飛車成れる~  棒銀だっ 早指しの神様 猫好きでしょうか~ さて、羽生四冠に只で会えるイベントに申し込んだら当選したので行ってきた話を書きます。 「先を読む力 ~未来起点で発想し、イノベーションを起こすために~」と題した只のイベントに当選した幸運な私は、明治記

          誰もが羽生を好きだから

          丸山九段の解説会に行った

          日頃からTwitterで棋士に関する嘘ばかり書いているのだが、これらの嘘は考えてひねり出されたわけではなく、脳内で勝手に活動する棋士たちの姿を垂れ流しているだけのことである。実際に会い、自分の色眼鏡で見た彼等は、私の脳内でよく動きよく喋る。しかし、私がその人間性を知らない棋士は動いてくれない。興味があるから脳内に居ることは居るが、脚色の材料がない。肉付け出来ない。そんな脳内の棒人間、丸山九段。私は丸山が知りたくて、丸山に会いたくて、丸山が出演する将棋イベントを待っていた。七年

          丸山九段の解説会に行った

          棋士と動物と我が闘争

          棋士と動物といえば、それは全国的に加藤一二三九段と猫のことである。 勘の良い方はお気づきかも知れないが、私は犬が好きである。 私は大抵の動物がそこそこ好きだが、幼少時分から犬を飼っていたため比較的犬の行動は理解しやすいという程度の犬派として、将棋界における猫と比較した犬の存在感の薄さを暇な時に思いだしては軽く嘆いている。存在感で言えば、鳥一羽(金太郎。森信雄七段のヨウム。澤田五段の頭が乗りやすい)より薄い。 さあ、拳を突き上げろ。立ち上がれ、犬軍よ。 朝日新聞「かぞくの肖

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