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短編ゴミ小説『センターパートの頭二つに裂いて鹿みたいに客間に飾る。』
手違いで野生のセンターパートを殺めてしまった。
理由などない。繁華街で肩で風を切って歩くセンターパートの群れにぶつかった。
私は振り返り、群れの中の一匹の2つに別れた髪を背後から手で掴みそのまま引きちぎってしまった。
思考などもない。半ば条件反射。ただ別れてる髪をそのまま裂いたらどうなるだろうという好奇心は少しあったのかもしれない。
髪を掴みながら突っ立っている私を残して群れは去っていった。
1限サボるだのティックトックだの聞こえたが詳細はわからない。あれは群れであって仲間ではないみたいだ。
手の中にあるセンターパートを覗いてみる。
シンメトリーであったものが裂かれシンメトリーさが増した。自然の摂理ではありえない人工物の髪、人類の営みと功績を感じ愛着に近い何かを感じた。
簡潔に表すならば芸術性ということかもしれない。感動というものを久しぶりに思い出し涙が溢れそうになる。
このまま放置しとくのも勿体無い。頭だけ持って帰ろう。
ん?そういえばこれが身につけてるセットアップというもの…闇オークションで高値で取引されていた。
持ち帰ろう。今度出品されるルーヴル美術館に展示してあった絵画を手に入れられるかもしれない。
そうこうしているうちに爺やが迎えに来てしまった。
「旦那様お待ちしておりましたよ。む、そのお手元のは」
「ああ。センターパートの群れと遭遇してしまって、一つを殺めてしまった。どれ、素晴らしいものだろう、これは」
「いやはや、素晴らしいものですな。私もこの謎の額の出し加減に思わず惚れ惚れしてしまいますぞ!!」
流石爺や、我が屋敷最高のフットマンである。どうやら芸術品を見る目もあるようだ。
「それと旦那様、来週のシュネーゼル夫妻の来賓の件ですが…」
うむ。忘れるはずもない。シュネーゼル家には大変お世話になっている。最高のもてなしをしなければ…
!!!!!
ーー客間に飾ろう。チンけな鹿の剥製とこの高貴な裂けたセンターパートを取り替えるのだ。
夫妻の一人娘の前髪がスカスカなバカ•マムコちゃんはケイポップというものが好みらしい。きっとこの飾られたセンターパートも気に入ってくれるだろう。
「…旦那様?」
「ああ、すまない。考え事をしていた。シュネーゼル夫妻には最高の夜を約束しよう」
気づいたらセンターパートの目も白目と移った。2つに別れた髪がピクピクと動いた気がする。頭をアタッシュケースに入れ、帰路についた。
静寂の中、来週の会合がとびきり美しい夜になることを妄想し、窓際で赤ワインを味わう。
飾られたセンターパートとともにーー
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