「振り返り」によって、経験のすべてが成長の糧となる
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「振り返り」によって、経験のすべてが成長の糧となる

宮本寿@クエスチョンサークル

私には小学2年生の息子がいるのですが、彼は昨年から始めた野球にドハマりしていて、毎週土日は野球の練習に明け暮れています。

実は私も小さい頃は野球にハマっていたんですが、中学生の時に顧問の先生とウマが合わず、それ以来野球をやることも観ることも好きでなくなってしまいました。

今は息子の練習相手や送り迎えをすることも多いのですが、そんな時にあれこれ質問されます。

・どんな練習が好きだった?
・誰が一番上手だったの?
・なんで中学でやめちゃったの?

などなど。

一つ一つ答えようとする度に、あの頃の自分を振り返ります。

息子は「将来キャプテンになりたい」と言っているのですが、彼の練習に向かう姿勢や友達との関わり方を見ていると、親である私は、つい口うるさいことを言ってしまいます。過去の自分を思い返しながら、あれこれ言いたくなってしまうんだと思います。

私もいま、小さなチームのリーダーではありますが、自分の仕事に向かう姿勢やメンバーとの関わり方について、まさに自問自答を繰り返す日々です。

こういった息子からの質問や自問自答を通じて過去を振り返ると、かつての自分が反面教師として色々なことを教えてくれます。皆さんも、そういったシーンがあるのではないでしょうか?

今回は、誰もが無意識のうちに行っているであろう「経験から学ぶ」ということについて、私なりに考えてみたいと思います。

「問い」が振り返りを促す

私たちは、経験から学ぶことが多いです。
経験を積み重ねることで、出来なかったことが出来るようになるし、失敗から学ぶことも多いと思います。

ただ、経験したからといって、自然と学びが生まれるわけではありません。
同じ経験から十得る人もいれば、一すら得られない人もいるし、ある本を読んで一度目は何とも思わなかったのに、改めて読むとまた感じ方が違うということは、よくあります。

経験から学びを得る上で、何が大事なのでしょうか。

組織開発の世界では、「経験学習サイクル」という考え方があります。コルブ(D.A Kolb)という人によって提唱された考え方です。この理論を参考にすると、「振り返る」ことが大事だと言えます。 

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経験を「振り返る」機会があると気づきや学びが生まれやすいのです。(この理論では、「概念化」と言われています。)
逆に言えば、振り返る機会がないと、経験はただの経験になってしまいます。

では、振り返りを促すためには、何が有効なのでしょうか?
私は、まさに「問い」だと考えています。

問われると、振り返りが生まれます。
息子からの「なんで練習が嫌いだったの?」という質問に答えようとすると、自問自答が更に繰り返されます。

・野球を始めた頃は球拾いでも楽しかったのに、いつから練習が嫌いになったのか?
・練習熱心だった彼は、どんな目標を持っていたんだろう?
・練習嫌いだった自分は、チームメンバーにとってどんな存在だったんだろうか?

などなど。
このような自問自答を繰り返すと、振り返りが深まっていきます。

成功体験から発揮能力を自覚する

日頃の仕事についても考えてみましょう。

仕事を振り返ると、つい上手くいかなかったことに目が向きますが、失敗体験であったとしても、しっかり振り返って次に活かすことができれば、成長の糧となります。

また、私たちは失敗体験にばかり目が向きがちですが、実は、成功体験を振り返ることも非常に大切です。
たまたま上手くいったように見える体験でも、「なぜ上手くいったのだろうか?」「次も上手くいくにはどうしたら良いだろうか?」としっかり振り返ると、自身の発揮能力を自覚することができます。
言語化し、自覚することにより、別の場面でも意識的に活かすことができるようになっていくことで、再現性が生まれるのです。

以前私が関わっていたプロジェクトチームに、システム開発をしているプログラマーの新人女性がいました。彼女は電話応対が素晴らしいということで、周囲の先輩から称賛されていました。

ただ、学生時代にコールセンターでアルバイトをしてきた彼女にとって、電話応対はさほど難しい仕事ではありません。そのためいくら周囲から称賛されても、本人は「プログラマーとして、電話応対は別にスキルではないし…」と、自身の能力を自覚できていませんでした。

そんな中、上司から「電話応対ではどんなことを大切しているの?」「プログラマーとしてどう活かせそう?」と問われる機会がありました。

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その問いに答えていく中で、自身の能力について、「顧客の要望を上手く汲み取り、分かりやすく理解を得るのに重要なスキル」だと自覚できたのです。確かに、顧客にとって、プログラマーが使う言葉は専門性が高いがゆえに分かりにくいと思う人も多く、だからこそ、上記のスキルが称えられていたのかもしれません。

彼女は、上司の問いかけを機に、過去のアルバイト経験で培った自身の能力を自覚したことで、その後のプログラマー業務において、それを意識的に活かせるようになりました。

本人が無自覚に発揮している能力を、振り返りによって自覚できるようになることには、とても大きな意味があるのです。
彼女のケースのように、振り返りのきっかけが、上司の問いかけにあることも多々あると思います。

気づきや学びを実践する

ここまで、振り返りの意義について述べてきましたが、一つ気を付けなければならないのは、気づきや学びで留まってしまうケースが多いということです。

経験学習サイクルでも示されている通り、気づきや学びは、その後の実践に活かすことが非常に重要です。

私は、「学習」と「成長」は違うものだと考えています。
「学習」は意識レベルの変化ですが、「成長」は行動レベルの変化と言えます。

「分かった!」という納得感があればあるほど、それに満足してしまい、行動に変わらないことが多々あります。

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「知る」と「分かる」と「できる」は違う、とよく言われますが、「分かる」と「できる」の間には大きな壁があります。
初めは上手くできなくても、意識しながら「意識無能」と「意識有能」を繰り返すことで、いずれ意識しなくてもできるようになります。

そのため、まずは気づきや学びを実践してみることがとても重要です。実践してみて、上手くいけば成果ですし、上手くいかなくても成長の糧となります。

「分かった!」という意識レベルで満足せず、行動してみると新たな学習が生まれます。頭で考えた学びよりも、行動によって得られた学びの方が重要です。

もしあなたが上司の立場であれば、部下が気づきや学びを次に活かすための機会をつくることも大事です。そのためには、振り返りを促す問いかけをした後に、「じゃあ、この後どんなアクションをしてみる?」と、行動計画に落とすところまで問いかけることがポイントです。

部下の中で実践イメージが湧くように、ぜひ対話してみてください。
昨今1on1が普及していますが、そういった機会を「振り返り」の場としてうまく機能させられると、職場における体験全てが、成長の糧となるはずです。

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宮本寿@クエスチョンサークル
リンクアンドモチベーション、グロービスを経て独立。現在はクエスチョンサークル代表取締役(https://www.question-circle.jp/)。”問い”の力で組織を変える!をスローガンに、企業の組織開発やビジネスリーダーの支援型リーダーシップ開発に取り組んでいます。