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【エッセイ】テレビの向こう側にいる人に抱く感情

芸能人でもなく、有名人でもない我々一般人は、テレビや各種メディアに出ている人達に対して、

「私より優れているからテレビに出ている。」
「僕より優秀だから名前が広く知られている。」

という風に思っている人は多いでしょう。だから、芸能人が何か不祥事を起こした時、失言した時、おかしな行動をとった時には炎上する。

「そんな愚かな事をする人は、我々と同等、もしくは我々より劣っている。だから、一般人と同じ側の人間でいるべきだ。」

という感情が芽生えてくる人もいるのではないでしょうか。
中にはこんなことを言う芸能人もいるでしょう。

「芸能人にちゃんとした人、聖人君子みたいな人なんていないですよ。」

・・・・・・いや、違うのです。芸能人の方がこのような事を言ってもほぼ意味は無いのです。
なぜならば、これは一般人側が芸能人に対して「一方的に」抱く感情の問題だから。「有名な人は、私より優れているべき」「僕より優秀であるべき」と思っているので、我々一般人が起こすような不祥事を芸能人は起こすべきではないと強く思っている人もいるのでしょう。
ある人は、薄汚れた日陰の事務所でパソコンをカタカタ鳴らし、別のある人は猛暑の中、荷物を配達し、またある人は、泣きそうになる感情を抑えながら取引先に頭を下げている。不倫や浮気をしない人もいる。箸を正しく持つ人もいる。体型をスリムに維持している人もいる。芸能人より可愛い人も、格好良い人もいる。言葉を選びながらコミュニケーションを取れる人もいる。
そんな我々一般人の中には、愚かな事をしでかして、みっともない姿をさらしてしまうような「優秀でない人」に、テレビの向こうで苦労も辛い思いも知らないような顔で、ニコニコ楽しそうに仕事をしていて欲しくないと思う人達がいるのです。

「芸能人だって、見えない所で色々苦労や嫌な事あるんだよ」

と言うかもしれません。しかし、芸能の仕事の基本的な性質として「表に苦労は出さない。辛い事があっても、人前でそれを見せない」という所があるかと思います。誰が決めたのか、それが表舞台に立たれる方達の「美徳」と今までして来たのではないでしょうか。

なので、いくら芸能人が「色々あるんですよ・・・」などと言ったところで、我々一般人の感情を抑える事はなかなか難しく、芸能と言う仕事の辛さ、大変さはなかなか伝わらない。芸能人が叩かれやすい理由がここにあるのではないかと思います。

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