【エッセイ】中ボス級劣等感

自分のような人間でも、一時期、画商さんが付いていた事があるんです。その方に言われた事は、未だにうっすらと僕の脳裏にこびり付いています。

「頭おかしくならなきゃね。変人に、キ〇ガイになりなさい。人並みの幸せを欲しがっちゃダメ。」

口調は覚えていないですが、確か言ってる内容はこんな感じの事だったと思います。それから随分経った今でも、僕は「おかしな人間」にはなれず、「ちょっとだけ変わった人」止まり。そこそこなんです。

子供の頃からそうなんです。そこそこ卒なく全ての事をこなすんですが、いまいちどれもパッとしない。太っていたので、運動はちょっと苦手。でも、そこそこ動ける俊敏なデブ。ルックスに関してもそこそこ。モテないんだけれども、女の子と会話してもらえる程度のルックス。そんな事もあり、自分の中の強みを無理くり見出したのが、絵を描く事。周りに「上手いね」って褒められる事が多かったんですが、抜群にもっと上手い子もいたわけで、それでも、なにか一番になれそうな物が欲しかったんでしょうね。

そしてゲイの世界に飛び込んだ後も、悪くはないんだけれどもゲイ受けしないルックス。体型も大学入学時に自然と一気に痩せて、それ以降ガッツリ鍛えていた時期はあったものの、そこそこ止まり。

僕のちっぽけなプライドの中には、これらのドロッとした劣等感がパンパンに詰まっているんです。

その劣等感も、人が目をそむけたくなる程のものであったのならば、まだ救われたのかもしれません。原動力になるでしょうから。でも、僕の劣等感は例えるならば中ボスクラス。ラスボスではないんです。「ちょっと手強いけど、まぁこんなもんだよね。中ボスだもん。」と主人公にあっけなく倒されてしまう程度のものなんです。

ラスボス級の劣等感は、もはや才能。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?