「また・・・な。」と帰る背中を見つめながら。
”また会う日まで(笑)な!”
そう言っておどける顔をしたのは70代半ばのおじいちゃん。
数年前に大きな病気を患って、うちのデイサービスを利用するようになった。
杖も車椅子も使わず、自分の足で歩いている。
最近は体重が増えたことを気にしてなるべく運動するようにしているらしい。
多分このおじいちゃんは、うちのスタッフのことを”ただの職員”とは思っていないと思う。
話し口調や目線を見ればわかる。
スタッフ全員の顔と名前を覚えるどころか、実家の住所や最近遊びに行ったところまで正確に覚えている。
”確か、あの2人(若い女性スタッフ)が同時にお休みを取ったのは、最近だとディズニーに行った時だったよな?”
と行った具合だ。
「制度ビジネス」の特性上、特別な配慮や便宜を図ることはできないが、こういった「人間同士のやり取り」は無限にできる。
それはまさしく、僕の仲間たちが、大切に育んできた努力の証のように思える。
*
ミヤケです。
今日は土曜日ですね。
昨日、バレンタインの夜は、久しぶりに妻とワインを開けました。
2人でしっかりと晩酌をするのはクリスマス以来かもしれません。
昨日はいつも飲み歩いてる時の4分の1も飲んでいないのにベロベロになってしまいました。
理由はわかりませんが、
・家で飲む安心感
なのか。
・久しぶりに二日連続で介護の現場に入ったから
なのか。
まあ、理由なんて何でもいいです。
*
久しぶりに介護の現場に入ると、様々な発見や、これまで敏感に感じ取れていなかったことなんかを沢山感じることができます。
”生粋の江戸っ子”親父
僕の施設は、東京都江東区は「深川地域」からほど近いところにあります。
深川といえば、俗に「深川八幡祭り」とも呼ばれる、赤坂の日枝神社の山王祭、神田明神の神田祭とともに「江戸三大祭」の一つに数えられるほどの大きなお祭りが開催されることから、街も人も非常に賑やかな地域になっています。
テレビで観るような、いわゆる「江戸っ子」もまだまだ多くいて、今回の主人公である”おじいちゃん”もその1人です。
口調はとても厳しく、いつも怒っているようで、全く怒らない。
曲がった事が嫌いで、女・子供にはめっぽう甘い。
全員と”人”として見てくれる
そんな親父は、たとえ週に一度しか通わないデイサービスの職員の全員の名前を覚え、その人その人によって会話の内容や口調を変えます。
まさに現代の・・・(いい例えが見つからない。。)
下の名前や、独特のニックネームを付けて全員と話し、仲良くしてくださいます。
「別にこんなとこ来なくたっていいんだけどな〜」
とか言いながら、欠席はほとんどなし。
欠席したら別日に振り替えで利用をするし、見学の利用者様が来られた時は、いつもの”江戸っ子口調”は影を潜めます。
大切に思ってくださっています。
施設も、スタッフも。
僕たちはそれを身にしみていつも感じ、心の中で感謝しながら、
「そんなに嫌だったら帰ってもいいんですよ?送って行きましょうか?」と挨拶がわりに煽ります。
「なんでミヤケちゃんが来るかなー!〇〇ちゃんがよかったなー」
先日、久しぶりに現場の送迎を行なった僕は、そのおじいちゃんのお迎えに行きました。
事前の電話をして、玄関前まで車を付けます。
僕「こんにちはー!」
「あ?ああ。」
僕「お久しぶりですね!」
「もう〜」
僕「???」
「なんでミヤケちゃんが来るのかなー。残念だなー。」
僕「えええーーー。。そんなこと言わないでくださいよーーw」
「やっぱり、女の子がいい!〇〇ちゃんか、〇〇ちゃんがいい!」
といっても、これがこのおじいちゃんの”挨拶がわり”なので、こんなもんです。
「大きな背中」
利用中も”ミヤケいじり”が止むことはなく、僕にとっては「最高に美味しい」時間でした。
利用時間が終わり、お送りの時間です。
お送りの順番が最後になるおじいちゃんの家が目前に迫り、
「このあたりも変わったなー」とポツリ。
生まれた時から70年以上の時間での変化を滔々と語ってくれました。
僕「間も無くご到着ですよ〜」
「あーあ。到着ですか。」
車を停め、玄関の中に見送るとき、
これまでの口調とは変わったようなおじいちゃんになりました。
「また、来るんだろ?」
僕「また来ます!もちろん!よろしくお願いします!」
「まあ、また、な。」
暗い玄関の中に、おじいちゃんは消えていきました。
長い、長い時間に思えました。
大きな背中が、少しだけ小さく見えました。
*
<終わり>
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