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”普通”じゃなきゃダメなの?

「学校に行きたくない」
「就職したくない」
「勇気が出ない」
「実家にいたい」

皆さんはこんな言葉を聞いてなんと思うでしょうか?

・甘え
・社会人としてふさわしくない
・常識なこともできないのか
・頑張ってないだけ

そして、最後にこう言うでしょう。

「自己責任だ」

俺なんかでいいの?笑

ある若者と話す機会を頂いた。

面識はあります。
というか、3週間くらい一緒にいたこともあります。
その若者の兄貴は仲良しです。

今回のきっかけはその兄貴から貰いました。

”おつかれす!
ちょっと相談なんだけど久々に〇〇と少し話してもらえんかな?
あいつ大学休学したらしくって、〜〜(云々)
もしよかったら〇〇に三宅さんと少しはなしてみない?って誘ってみる。”

心の奥底に寄り添うための手段として選んでくれたみたいでした。

正直、落ち込んでいるのか、そうじゃないのか、わかりませんでした。
彼に最後に会ったのは一年前。
二十歳そこそこの青年の一年間は長いです。
今の彼がどうなっているのか、楽しみでもあり、少々の緊張をしていました。

”似た者”同士

夕方、テレビ電話の向こう側の彼は少しだけふっくらしていました。
それは、単純に体型の変化だけではなさそうでした。

”おおー!久しぶり!”

「お久しぶりです!」

”大学、休学したんだって?いいじゃん!”

ズケズケとデリカシーのない事を口走ってしまいましたが、多分過去に戻ったとしても同じことを言うでしょうw

でも、彼はとても明るかったです。

正直休学した直後は悩んでいたらしいですが、今はすっきりしているそうで、「勇気が出ない」と言いつつも転職活動(就職活動)をしながら、知り合いの活動を手伝いつつ、週4でコンビニのバイトをしているそうです。

ざっくりと、彼の心の中にある違和感を挙げると、

・周りの友人とかは新卒で就職しているが、自分は学生だし休学してるし・・
・バイトを続けている(正社員ではない)
・実家暮らし

彼が言っていたのは、「周りの人がどう思うのかな、っていうのは少し気になります。」

まあ、僕に言えるくらいなので、少しというか、だいぶ気にしているのでしょうね。

「三宅さんは何をしているんですか?」
と聞かれたので、「同じだよ」と答えました。

現場の採用が上手くいき、組織体制もかなり健全になってきたので、あまり現場にいない、会社には自分の好きなことをやらせてもらっている、でも売上が沢山ある訳ではなし、今は会社にご飯を食べさせてもらっていると言っても大げさじゃないかも。

と、そんなことを伝えました。

「僕と同じですねwww」

僕が彼のことを好きな理由は、こんなことを”オン”で言っちゃうことです。

もし兄貴がいれば、「三宅さんと同じじゃねーよw」と言うでしょう。

彼と話したことは、

・新卒ストレートで正社員になることが「正解」って訳じゃない
・誰かに頼ったり、スネをかじったりしても死ぬ訳じゃない
・休学中でも彼みたいにバイトして実家でも自活できている人はいるけど、正社員でも自活できなくて仕事が楽しくないって思う人もいる

彼は、自分でバイトして、それ以外の活動も自分のペースで頑張ろうとしています。

僕は、新卒正社員で、もちろん仕事は楽しいけど、自分の手でお金を稼いでいる訳ではない(今のところ)。

どちらかのポジションに立てば「こっちがいい」「あっちがいい」と言うことはできますが、「人間として生きる」という大きな枠組みから見れば、どちらも正解だと思います。

僕は、実家を18歳で出ました。

東京で結婚したし、地元に帰ることもありません。
家族の誰かが介護状態になってもいいように、話し合いをして、僕が実家に戻る可能性を極力無くしています。

祖父母や両親の死に目に会えないことも覚悟しています。

緊急時に呼ばれたとしても、協力できないことがほとんどです。

でも、彼は実家にいます。
ご両親はいつでも愛する息子の顔を見られるし、急な用事を頼むこともできます。
喧嘩だってすることができるし、ご飯を一緒に食べることもできます。

定義にはよりますが、どちらが親孝行なのでしょうか?

彼はスネをかじっている”つもり”なのかもしれませんが、それは僕だって同じです。
会社に好きなことをさせてもらっているし、奥さんの両親にご飯を奢ってもらえます。

「似た者同士じゃんw」と言うと彼は、「本当ですねwww」と笑ってくれました。

普通なんて、実は存在していない

彼に「目に見えない圧力」をかけている正体は、「普通」という悪魔です。

学校は留年せず、卒業し、新卒で正社員になり、実家を出て”自活”し、定年まで働くことが良しとされてきました。

というか、多くの人がやっていたので「正解」っぽく見えていたんです。
だって日本人で大企業に勤めている人なんて10数パーセントなんですから。


彼から見れば僕は「普通の社会人」「普通の大人」かもしれないけど、僕から見れば彼のほうがよっぽど普通に見えます。

二十歳そこそこの年齢で自分の人生に迷い、自己否定と自己肯定を繰り返しながら必死にもがいています。
バイトでお金を稼ぎながら自分のやりたいことに挑戦して、両親の近くにいます。

僕なんかよりよっぽどマトモです。

「普通」っていうのは、多くの人の情報をまとめて”平均点”を出したに過ぎません。

クラス全員が70点なら、そのクラスの平均点は70点です。

でも実際は、20点の人もいるし95点の人もいます。
もちろん70点の人も何人かいるでしょうが、正解した問題と間違った問題が完璧に同じことなんてほとんどありません。

社会だってそうなんじゃないかと思うんです。

皆んな仕事や趣味や恋人関係や家族関係が複雑な中で生きています。
1人の人間ですら複雑な訳で、それを無理やり平均化して「普通」を作り出しているに過ぎないんです。

僕は彼が好きです。

IQが高い訳ではないかもしれないし、モデルや俳優になれるようなビジュアルではないかもしれないし、酒が強い訳じゃないけど、

家族が好きだし、”兄貴の会社の先輩”っていうわけのわからない関係の僕に”頼れる”し、

現場に来ていた時は、目の前のおじいちゃんおばあちゃんのために頑張っていたし、

失敗すれば「すいません」「ごめんなさい」って言えるし。

そんな立派な大人っていますか?

そんなかっこいい社会人って沢山いますか?

「普通」という悪魔のせいで、こんなにも立派な人間の未来が真っ暗闇になりかけていたんです。

見過ごすわけにはいきません。

最後に、彼に僕の父親の話をしました。

僕の父親は、田舎の私立電気系高校の高卒です。
正直誰でも入れる高校です。

就職先は、高2の時からバイトしているところに転がり込んだそうです。

そこから35年あまり。

日々似たような仕事をこなしています。

でも、僕の父親は、曲がりなりにも家族を持ち、奥さんの実家(今の僕の実家です:婿養子)に転がり込み、子供ができ(*僕と妹)、まあ、立派(?)に育ててもらいました。

父親は、自分の実家と奥さんの実家以外に住んだことがありません。

そんな話をしながら、また近いうちに話そうと言い、笑顔で電話を切りました。


<終わり>


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