”若者の走り”に高齢者が熱狂!
MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)が先日15日に開催されました。
来年に控える東京オリンピックの代表選考の大会なだけに、開催前から多くの注目を集めていました。
男子は、1位:中村匠吾選手、2位:服部勇馬選手
女子は、1位:前田穂南選手、2位:鈴木亜由子選手
がそれぞれ東京五輪の代表に内定するという結果で幕を閉じました。
今日は、そんな白熱したMGCを”高齢者はどのように観ていたのか”について書いていきたいと思います。
事前情報量(これもテレビの功績か)
たぶん、今の高齢者はそこらへんの若者よりもスポーツのことをよく知っています。
もちろん今注目の選手の情報も頭に入っています。
野球やサッカーはもちろんですが、"マラソン選手"も例外ではありません。
先日行われたMGC、たまたま現場のデイサービスで仕事をしていたので、利用者さんと一緒に観戦しました。
野球やサッカー、格闘技と比べて素人目には動きが少なく見えるマラソン。
ご高齢の方には少々つまらないかなあと心配していたのですが、
蓋を開けてみれば全員大声で応援する盛り上がりようでした。
そんなMGC観戦でしたが、まず驚いたのは利用者さんの関心度の高さでした。
特に70代後半の女性は、今大会の目玉である大迫選手、設楽選手、松田選手だけでなく、出場選手のほとんどの情報をご存知でした。
施設に到着する前、送迎車の中から"あの選手はこうで"、"あの選手の出身はここで"、"あの選手は家族が面白い人で"、、、
すごい情報量!、、!!
『どこでそんな情報を仕入れたんですか?』
その女性だけでなく、皆さん口を揃えておっしゃったのは、"もちろんテレビよ〜一日中観てるんだもの笑"
日本のテレビ恐るべし。。
若者世代では軒並みテレビ視聴率が下がり、テレビを持たない若者も珍しくありません。
僕の家にはテレビを一台置いていますが、妻がいない時には付けることはありません。
僕の友人や同僚も、テレビ好きはごく僅か。
そんな状況にあって、高齢者の情報源、社会との繋がりの多くはまだまだテレビです。
インターネットやスマホアプリを使いこなせない高齢者にとって、電源を付けるだけで様々な情報が飛び込んでくるテレビは貴重な貴重なメディアです。
平成29年5月に次官・若手プロジェクトによって発表された「不安な個人、立ちすくむ国家〜モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか〜」の中でも、高齢者の日常生活に占めるテレビ視聴の割合が話題にもなりました。
テレビメディアの”質”が問われ始めている現代においても、高齢者はある種純粋に情報の受け手として存在しています。
変化が少ないから見ていられる
テレビメディアについてを深く掘り下げるのは一旦置いといて、MGCの話題に戻ります。
僕たち若者からすると、一般的にはマラソン観戦をテレビ視聴することは少々退屈なものでもあります。
2時間以内で終わることはほぼなく、白熱するのは、せいぜい30km〜35kmあたりの攻防くらいで、素人には少々わかりづらいスポーツです。
やはり若者には野球やサッカーなどの常に状況が変化しやすいスポーツが面白く感じられます。
では、なぜ高齢者はマラソンに熱狂できたのか、考えたいと思います。
サッカーの中継や野球の中継、その他スポーツ中継をデイサービスで流すこともあります。
特にオリンピックやW杯の際には、注目度も高いため利用者に人気のコンテンツでもあります。
しかし、野球やサッカーはマラソンほど盛り上がらないこともあります。
その理由は、「展開が早く、複雑だから」というものでした。
そう、僕ら若者にとってはより展開がスピーディーで複雑な方が白熱させられます。
しかし、高齢者にとって”それ”は、早すぎるし、複雑すぎたのです。
素人から見るとマラソンは、とにかく真っ直ぐ走るだけだし、白熱する瞬間のいくつかあるいは数分を除いては状況が膠着することの方が多いです。
高齢者にとってそれくらいの変化度合いの方が見ていて落ち着くようです。
接戦は世代間を超えた熱烈応援
さて、実際の観戦現場はどうだったのでしょうか。
少しだけ様子をお伝えします。
・設楽選手の前半スパート!
優勝候補の一角、設楽悠太選手が前半から飛ばします!
一時後続の2位グループに2分近い差をつける独走状態を演じました。
”あんなに飛ばして大丈夫かしら”
”このまま逃げ切れるかも!”
設楽選手の飛び出しにデイサービスが湧きました。
・設楽選手の失速
今大会の前半〜中盤にかけては、設楽選手を中心にレースが展開されました。一人独走しているので、テレビ中継に抜かれることも多く、しんどそうな表情(そう見えるだけかもしれませんが)を”おじいちゃんとおばあちゃん”は心配そうに見つめていました。
すると中盤〜終盤にかけて、設楽選手が一気に失速、2位グループが抜き去る展開になりました。
・大本命:大迫選手を飲み込んだ”包囲網”
終盤では、大本命:大迫傑選手、同じく優勝候補:服部勇馬選手、そしてダークホース:中村匠吾選手の3選手によるデッドヒートが展開されました。
優勝候補の一角:設楽選手が大きく遅れを取ってしまったことで、この3選手の順位に注目が集まる終盤になりました。
前半から余裕の表情で疾走する大迫選手、特にこれまでの大会でも後半の伸びとスパートに定評があったことから、大迫選手の圧倒的優位に見えました。
しかし、実力者:服部選手とダークホース:中村選手のは終盤で圧巻の粘りを見せました。
大迫選手有利と見られていた展開から急転直下、まさかの事態に、利用者さんたちはさらに盛り上がっていました。
”嘘でしょ!”
”大迫厳しいねえ〜”
”おお、すごいなあ”
スポーツに興味のなさそうだった利用者さんまで口々に声援を上げておられました。
*
各メディアで報じられ、注目を集めたMGC、その盛り上がりは高齢者も例外ではありませんでした。
”渋谷の盛り上がり”とは雰囲気が違いますが、確かに皆さん一人一人の目の中には熱いものが見えました。
皆さんの姿は、「デイサービスの利用者」ではなく、若者世代の頑張りを応援する、背中を押す、熱い日本人の姿でした。
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<終わり>
シニアの方々が、主体的に・楽しく生活し続けられるよう、頑張ります!少しでもご協力頂けると幸いです。