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腸内環境と自律神経のお話①メンタルと腸は密接につながっている

以前、腸内環境に関する話をしたなあと振り返ってみたら、もう2年近く前の文章で驚いてしまいました(笑)。今改めて、このテーマを紹介する必要はないほど、腸内環境の重要性は広く知られるようになりました。

ですが、腸内環境と精神的な部分とのつながりについては、知らない人もいるかもしれません。そして、メンタルの話をする上で、自律神経は欠かせない存在です。今回は、この「腸内環境と自律神経」についてお話しします。

内臓は「副交感神経優位」で働きやすくなる?

自律神経は、もう皆さんよく知っているかもしれません。

自律神経は、交感神経と副交感神経で分かれている神経です。考え方や呼吸法などでコントロールすることもできますが、基本的には意図的にコントロールすることが非常に難しいです。交感神経と副交感神経は、絶えずバランスを取り合うことで、筋肉の緊張、心拍、血流、血圧が自動的に調整されています。

交感神経と副交感神経の役割も、皆さんご存じだと思います。交感神経は興奮度合いを高める神経であり、血流や血圧、心拍痛を高めます。恐怖を感じて逃げようとする時、攻撃的な気持ちになっている時など、闘争に関わる状況で強く働くのが、交感神経です。

交感神経優位の状態では、アドレナリンやドーパミンが多く分泌されています。これらのホルモンの作用により、人はハイテンションになったり、痛みを感じにくくなったりしています。

交感神経優位の状態を知るうえで、参考になるのが「格闘技」であり、特に興味深いのが「相撲」です。

NHKの放送やスポーツニュースで、相撲の取り組みを観たことがある人も多いと思います。わずか数秒の立ち合いなのに、取り組みを終えた力士はすごく疲労しているじゃないですか。彼らは確かにかなり大きな肉体ですが、決して体力がないわけでもありません。彼らは、いわば「極度の交感神経優位の状態」にあります。

野生動物が、獲物を追いかけたり捕食者から逃げたりする時も、強烈な興奮状態に入るため、痛みや疲れを覚えません。とはいえ、この状態は一時的なものです。戦い終わった、あるいは逃げ切った後に、その時感じていなかった疲労にようやく気づくわけです。

そして、現代人はここまで極端とは言わずとも、交感神経が優位になりやすい生活を送っています。テレビにスマホ、インターネットに街中で聞こえる様々な音…。こうした外的情報に毎日さらされているため、「常に刺激を受け続けている状態」にあるからです。

一方で、副交感神経は身体を鎮静化させる形で作用します。俗にいう「リラックス状態」であり、その際たるシチュエーションが「寝ている時」でしょう。ただ、副交感神経が優位に働くと、実は特定の臓器が活発に動きます。「特定の臓器」というのが、今回の腸内環境の話にも関連する小腸や大腸です。

実は、人間が最も活発に活動する昼間=交感神経優位に働いている時間帯は、それほど各内臓は活発に働いていません。この自律神経と臓器との関係が、腸内環境にも大きく影響します。

腸のすごい機能の数々

私たちが口にしたものは、食道、胃を介して腸へ行き、最終的に排泄されます。簡単に言えば、口から肛門まで1本の管になっているということですね。その途中に存在するのが、今回のテーマである腸というわけです。

腸は大腸と小腸に分かれ、大腸は盲腸・虫垂・結腸・直腸、小腸は十二指腸、空腸、回腸とそれぞれに分けられます。大腸は約1.5m、小腸は約7mもの長さがある他、正面にびっしり生えた絨毛によって、腸の表面積は約300㎡にもなるのです。これは、テニスコート1.5面分に匹敵します。

これだけ壮大な作りをする腸によって、私たちは栄養の消化吸収を行います。また、腸は間接的に口ともつながっているため、「外界と接している」ことになります。当然、外から菌やウイルスも侵入してくるわけですが、それが腸に影響することで、胃腸炎などの疾病にもつながってしまうのです。

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