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良質な脂質を持つアボカド、魚は認知機能改善にもつながる!【栄養学を極める】

質の高い脂質を多く含む食材として、よく知られているのが「アボカド」と「魚介類」ですね。アボカドには一価不飽和脂肪酸「オレイン酸」が多く含まれ、血中コレステロールを適正に保つということから、生活習慣病の予防効果が期待されています。

魚介類の脂質と言えば、不飽和脂肪酸に分類されるn-3(オメガ3)系脂肪酸のEPA、DHAですね。いずれも、血中コレステロールを減らす働きがあり、中性脂肪を減らし血栓の予防、動脈硬化の予防が期待できます。

とまあ、良質な脂質源として有名な2つの食品ですが、実は認知機能改善にも効果があると言われています。今回はさまざまな研究を引用しつつ、アボカドと魚を食べたくなるような健康効果を紹介したいと思います。

肥満の人がアボカドを食べるとどうなる?

過剰な脂質の摂取は、認知機能障害のリスクを増加させることが知られています。その中で、キサントフィルである※ルテインが多く含まれるアボカドの摂取は、認知機能の改善効果も期待されています。

※ルテイン
アボカドには、100gあたり0.256mgのルテインが含まれていると言われています。ほうれん草、ブロッコリー、グリンピースなどに多く含まれるルテインは、目の中の水晶体や網膜の中心部にある黄斑部に存在している天然色素です。ルテインには協力な抗酸化作用があり、目のさまざまな疾病の予防に効果があるとされています。

また、ルテインは脳内の酸化ストレス・炎症を抑制する働きもあるとされています。高齢者がルテインを摂取することで、神経効率を高め認知機能の改善・向上に効果があることが分かっています。

2020年の研究では、肥満の成人において、アボカドの摂取が認知機能およびルテインの状態に及ぼす影響を調査しました。

研究では、25~45歳の成人84名(男性31名、女性53名)を対象に、新鮮なアボカドを12週間毎日摂取するグループ(47名)と、アボカドを摂取しないグループ(37名)とに分けて、実験を実施しました。血清ルテインと 黄斑色素の光学的濃度(Macular Pigment. Optical Density、通称「MPOD」)によって、ルテイン量の変化を調査しました。

なお、この実験では「フランカー課題」という、実行機能の抑制機能を評価する課題で認知機能を評価しました。抑制機能というのは、日々の行動を調整する機能のひとつで、不適切な行動を抑制する際に働きます。前頭葉の脳領域である右脳の下前頭皮質、前補足運動野などが関わっている機能です。

フランカー課題は5つの並列した刺激に対して、中央の刺激が左右のどちらを向いているか判断するというテストです。簡単に言うと、左右いずれかを向いている魚の絵を見て、真ん中の魚がどちらを向いているか回答します。

引用元:https://yab.yomiuri.co.jp/adv/wol/research/kyoso_141125.html

実験の結果、12週間アボカドを食べたグループは、血清ルテイン量の増加とともにフランカー課題の正確性の改善が見られました。一方で、MPODの量の変化はなかったそうです。

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