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精神疾患で用いられるイチョウの葉を検証!メンタルケアに効果はある?ない?

イチョウは最も古い種子植物のひとつで、「生きた化石」と呼ばれたりします。もともとは中国原産でしたが、現在では世界中で栽培されています。日本では秋の風物詩的存在として愛されていますね。

イチョウの葉から抽出したエキスは、何世紀にもわたって伝統的な漢方薬として、循環障害、喘息、耳鳴り、めまい、認知障害の治療に用いられてきました。現代に至っても、イチョウの葉から抽出された成分は、世界中で一般的に服用されている植物性医薬品のひとつで、ヨーロッパでは老年期や認知症に対する向精神薬として処方されることもあります。

日本でもiHerbをはじめとしたサプリメントストアをのぞいてみると、イチョウの成分を含有したサプリメントは多く、また人気も高いです。今回のnoteでは、2013年に発表された、イチョウ葉エキスに関する研究をまとめた論文をもとに、イチョウ葉エキスがどのくらい精神神経疾患に効果があるのかを紹介したいと思います。

精神神経疾患とイチョウ葉にまつわる論文をくまなくチェックして分かったこと

論文では、複数の論文データベースから、「イチョウ葉」「認知症」「自閉症」「統合失調症」「うつ病」「不安症」「注意欠陥・多動症(ADHD)」「中毒」といった検索ワードでヒットする英語、イタリア語、フランス語、スペイン語、ドイツ語の論文を抽出。また、追加データや未発表のデータも、各研究者から取り寄せたそうです。

その結果、文献検索により1109件の臨床論文が見つかり、そのうち113件の論文を評価の対象としました。これらを検証した結果、各疾患に対して次のような結果が示されたそうです。

自閉症→効果は薄い?

47人の小児を対象とした研究において、リスペリドン(抗精神病薬のひとつ)の補助としてイチョウ葉エキスの効果を調べました。その結果、イチョウ葉エキスを補助的に用いた両方で、有意な結果は得られなかったそうです。

 ADHD→効果は薄い?

50人のADHD患者を対象に、イチョウ葉エキスとメチルフェニデート(精神刺激薬)との比較実験を行いました。結果、イチョウ葉エキスはメチルフェルニードと比較して、副作用こそないものの劇的な症状改善効果は見られませんでした。

中毒→効果は薄い?

44人のコカイン依存症の男女を対象とした、ピラセタム(脳機能調整薬)、イチョウ葉エキス、プラセボ(偽薬)の比較実験が行われました。実験では、治療終了後の再発の状況を確認しましたが、3つのグループに有意な差は確認できなかったそうです。

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