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キャノーラ油の安全性。健康にいいの?悪いの?

健康、ダイエット、美容のために「いい油」を摂ろうという話は、パーソナルトレーナーであれば一度は口にしたことのあるアドバイスだと思います。TVやネットでも、「いい油」というキーワードはかなり市民権を得ました。

そんな「いい油」の対極に位置していて、なるべく使うのを避けようと言われる油が「キャノーラ油」です。広く知られている知識ではありますが、キャノーラ油の安全性に関するお話をしつつ、改めて「いい油とはなにか」というお話をしていきたいと思います。

脂肪組成を理解しよう

キャノーラ油のお話をする前に、「脂肪酸」について復習しておきましょう。脂肪酸とは、炭素、水素、酸素の3種類の原子で構成されています。大きな特徴は、脂肪酸の一端には「-COOH」という「カルボキシル基」がついているという点です。酸性を示す有機化合物の多くに、このカルボキシル基がくっついています。

そして、脂肪酸は主に炭素の不飽和結合をしている「不飽和脂肪酸」と、不飽和結合のない「飽和脂肪酸」に分けられます。不飽和結合というのは、隣接する原子が画像のように2価以上で結合している状態を指します。この場合は、炭素同士が2価以上で結合しているという感じです(ここを話し始めると途端にややこしくなるので、そういうものだと覚えておいてください笑)。

一般的に、飽和脂肪酸は常温で固体の状態であり、動物性の油に多いとされています。一方不飽和脂肪酸は、常温で液体の状態であり、植物性の油に多いというのが特徴です。不飽和脂肪酸は、炭素同士の不飽和結合の数で「一価不飽和脂肪酸」「多価不飽和脂肪酸」に分類されます。多価不飽和脂肪酸に貼オメガ3とオメガ6、一価不飽和脂肪酸にはオメガ9が挙げられます。

サプリと違い、食品に含まれる成分というのは非常に多種多様です。ひとつの食材に一種類の脂肪酸しかない、ということは基本的にありえません。上で紹介した飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸が、食材ごとにさまざまな割合で含まれています。油に対しても、これは同じことがいえます。

その油に対して、飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸のどの種類が、どんな割合で含まれているかを示すのが「脂肪酸組成」です。Aという食材には、飽和脂肪酸が3割、不飽和脂肪酸が7割含まれているという感じです(実際には、飽和脂肪酸の○○が何%含まれているなど、細かく分類されます)

今回テーマに挙げたキャノーラ油の場合、100gあたりの脂肪酸組成(脂肪の含有量は94.5g)は次のようになっています(Wikipediaより。商品によってこの組成は異なります)

飽和脂肪酸 6.61 g
一価不飽和脂肪酸 62.6 g
多価不飽和脂肪酸 25.25g

それに対して、健康にいい油の代表格であるオリーブオイルの100gあたりの脂肪酸組成(脂肪の含有量は100g)は次の通りです。

飽和脂肪酸 13.808g
一価不飽和脂肪酸 72.961g
多価不飽和脂肪酸 10.523g

こうしてみると、お互いの含有量には大きな差があることが分かりますね。

そもそもキャノーラ油とは何か?

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