拝啓


空を想う時


一番に出てくるのはあなたの顔


最期に会いに行けないことが分かり、マスクの鼻の部分をグチャグチャに濡らして泣いた、あの日


どうにかしてあなたに届くように
そして私のこのやりきれない気持ちを
何かに渡したくて

ろうそくが一本真ん中に立ててある不思議な花束

鈴でも付いていそうな、赤と緑の色合いの花束

その子を家に持って帰り
小さい時の素直になれずにいた私ではなく
26歳のわたしと空にいるあなたとの2年越しの会話

会いに行けなくてごめんね

これがいまの住んでいる家だよ

今わたしはこんな顔をしているよ

あなたは何をしているの?

楽しく暮らしいるのかな?怖くない?




聞けずにいた沢山のことを聞いた
孫の私の言葉をいつも楽しみに待っていてくれたあなたの笑顔が瞼に映るように見えた


私の気持ちと空が近くなった気がして
そこに架け橋が掛かった気がして


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