キミが存在しないラブコメ 第74話

結局のところ、彼女たちは存在しないことがわかった。

布佐良月子、筬屋真海奈、火花萌瑠、綿里未雪、椎菜爽芽、矢林御琴、ヴィジョン・マインディング、心野友代……そして、神憑桜舞。

彼女たちは僕の妄想が具現化して、この世界に顕現した存在であり、どうやら僕は、いつも、ひとりで行動していたらしい。

ひとりで行動していたがゆえに、ひとりで勝手にしゃべっている変人のように……周囲の人たちには映っていたようだ。

それと僕は神憑武尊という存在ですらなかった。

彼女たちの名字も僕の名字も現実の世界で存在するものではなく、架空の名字だったのだ。

つまり、僕の妄想が具現化して現実の世界と分離してしまった。

それに伝播大学という大学は、やはり存在せず、それも僕のなかにある架空の大学で、やはりS市には大学らしい学校は、ひとつもなく、大学へ行くためには都心のK市へ行かなくては行けないようだった。

僕には妹などいなく、ひとりっ子だった。

家族構成は父、母、僕であり、ペットにワンちゃんがいる。

だから、始めから兄弟も姉妹も存在しない。

僕は、どうやら長い時間を夢のなかで過ごしていたらしい。

実は時間が、高校一年のころから経過していなく、結局、僕は伝播高校を一年で中退していたらしい。

僕は都心の高校である宝玉学院高等学校ほうぎょくがくいんこうとうがっこうに入学していて、そこで三年間、通って卒業した。

そのときに夜行喪樹にあたる人物と出会い、暴力を振るわれ、金品を取られる事件に発展することになった。

その事件は世間では公にされておらず、正確には事件として記録されていない。

そんなことがあったものの、僕は夜行喪樹にあたる人物を信じて、その人物に暴力を振るわれながら、その大学へ行けと説得された理系の学部のある宝玉大学ほうぎょくだいがくへ進学することになる。

そこでも理系の学部の学生たちに暴力を振るわれ、進級がかかった試験のときに、その学生たちに筆記用具を隠され、留年してしまう。

文系の学部へ転学部するが、僕は友達をつくらず、ひとりで行動するようになり、やがて病気を再発症することになる。

とある病院で約四ヶ月の時間を使って病気を寛解状態まで治し、その一年後に、また入院して約四ヶ月の時間を使って病気を寛解状態まで治した。

宝玉大学を卒業して、社会人になるも会社に裏切られ、病気を再発症。

約三ヶ月間、入院する。

会社を退職して現在、無職。

これが正しい僕の人生だった。

だけど、ふつふつと湧き上がる僕に備えられた怒りの感情をどこに発散すればいいのか、わからなかった。

正しい人生なんて、ない。

ただ、僕にできる……病弱な僕が世界を変える唯一の方法をずっと考えていたんだ――。

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