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3つの好きな映画|のんびりインドへ映画旅[バジュランギ、パッドマン、ピーケイ]編

暇な人でありたい

旅をするとき、予定を決めて効率的に行きたいところに行く。無駄なく時間も有効に使えて、充実した旅になる。

でも、それ本当?

遺跡、絶景、建築、観覧、買物、、、大きな観光地の有名なアイコンを、スタンプラリーのように巡る旅がはたして充実した旅なのか。

予定を詰め込むよりも、出来るだけ余白の時間を確保する。旅先にまつわる本を、その土地で読むことは、なによりの贅沢。その日の気分で、行動を変えるゆるい感じは、すこぶる心地がいい。

「どうして、ここの人、みんな親切なのかしら」
「暇だからなじゃない」
「私も暇にして、いい人相して、人に道なんか、ていねいに教えてあげたい」

塩谷さんが語る、佐野洋子著『ふつうがえらい』の一節

暇な人でありたい

ということで、前回に引き続きインド映画で、のんびり2-3時間の映画旅でもどうでしょう、という話。


東洋でも西洋でもない、中洋のインド

梅棹忠夫は、東洋と西洋の間に広がる大きな範囲を「中洋」と名付ける。東洋と西洋の比較では世界はなにも見えてこない。中洋への理解が足りないという。

自身が学術調査の為に訪れたインド、パキスタン、アフガニスタンでの経験から、ユーラシア大陸を一枚の図で示す。

梅棹忠夫|文明の生態史観(1957)

中央にあるのは砂漠遊牧民。その周辺に発達したのが4つの文明社会(中国・インド・ロシア・イスラム)。遊牧民の暴力に対して、文明社会は巨大な専制帝国で対抗する。

それに対して、日本西欧東の端西の端。中央の暴力が及ぶことなく、隣接する地域から文明を導入し、独自の発展を遂げる。

 2050年にGDP世界1・2位が中国インド
 2070年に世界一の信者数となるイスラム教
 今まさに現実に起こっているロシアの戦争

本が出版されてから約70年。今振り返ってみても、東洋と西洋の間にある大きな『中洋』に着目した梅棹さんはすごいなぁと。

ということで、そんな『中洋』のインドの今がわかる映画を3つご紹介。

バジュランギおじさんと、小さな迷子|2015

インドからパキスタンへの700キロのふたり旅

敬虔なヒンドゥー教徒のインド人が、喋ることのできない迷子の少女と出会う話。困っている少女を助け、人と人との暖かな交流を描く。

でも実は、少女はイスラム教徒のパキスタン人。喋ることができないので、インド人は少女がイスラム教徒のパキスタン人であることになかなか気づかない。

歴史と宗教で対立するインドとパキスタン。

国の対立を超え、宗教を超えて描かれるロードムービー。


パッドマン|2018

安価な生理用品の開発に人生を捧げた男の実話

新婚生活を送る男は、高価な生理用ナプキンが買えずに不衛生な布を使う妻を救うため、清潔で安価なナプキンを手作りすることを思いつく。

しかし、生理がタブー視されるインドではうまくいかない。生理中の女性は寺院には入れない。'穢れ'だと言われてしまう。そもそも生理中の女性は、家でも隔離される習慣がある。

2001年のインドで生理用品の普及率はたったの12%。高層ビルも建ち、ロケットも打ち上げられている。そんな力のある国でも、宗教や慣習が絡むとこの状況。

それでも諦めず、ついに開発を実現する実話。


pk|2014

様々な宗教に学び、受け入れよう

多宗教国家であるインドで、宗教とは何か、神様とは何か、という壮大な問いに対して、いたって真面目に向き合うコメディ映画。

宗教を知らない宇宙人が地球にきて助けを求める。神様に会えば願いが叶うと知った宇宙人が、ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教、仏教、、と次々に宗教を試して願いを叶えようと奮闘する。

無知だった宇宙人が宗教を学ぶたびに常識と徳を積んでいく。そして、無意識のうちに志の高い存在になっていく。

様々な宗教を学び、受け入れよう

そんなメッセージに溢れる面白い映画。


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