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1960年代~80年代の泣ける名曲100選⑪~名曲聴き比べ~「ストップ・ザ・ミュージック」「人間なんて」「東京」「機嫌を直してもう一度」「オービーバー」他32曲

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オックス「オー・ビーバー」(1968)

作曲は、リーダーでベース担当の福井利男。ファーストアルバム収録曲でシングルカットはされていませんが、ステージでは定番の曲でした。

オックスのデビューはかなり遅く、GS最盛期の1968年5月にレコードデビュー。楽曲よりも失神によって一世を風靡し印象が強い「元祖失神バンド」。

キーボードの赤松愛、ボーカルの野口ヒデトの失神パフォーマンスに反応した会場の若い女性ファンが次々と失神。倒れた少女たちが担架に載せられ、救急車で病院に搬送される様子が大々的に報道されて社会問題化。「失神騒動」が話題を呼んで注目度が高まりオックスの人気を押し上げた反面、マスコミやPTAなどからの猛烈なバッシングも招き、翌年からのGSの急激な凋落に拍車をかけてしまった面も。

オックスコンサートでの「失神騒動」は、映画『パッチギ』でも面白おかしく描かれています。

オックス「オー・ビーバー」(ライブ)

音質が悪いですが、当時のライブ会場での観客の異様な熱狂ぶりはよく伝わってきますね。「オー・ビーバー」はシングルカットされなかったためあまり知られていませんが、今聴いてもなかなかの名曲だと思います。

オックス「テル・ミー」(1968)

「オー・ビーバー」と並んでこの曲も定番の「失神曲」。
ローリング・ストーンズが自分たちの曲のカバーで失神者続出と聞いたら、びっくりしたでしょうね。                     

GSについては、こちらのシリーズで書いています。


タブレット純+サニー多咲とバブルジェッツ「オー・ビーバー」

GSに詳しいタブレット純が単純な歌詞を知らない訳がないので、いちいち歌詞を耳打ちしてもらっているのは笑いを取るための演出なのでは?

サニー多咲とバブルジェッツ「オー・ビーバー」

バブルジェッツは、GSのコピーバンド。
途中で何度も「キャーッ」という叫び声が聞こえますが、これはバンドへの声援ではなく、突然の雷雨と強風に煽られて逃げ惑う観客たちの悲鳴です。感電が心配ですが、観客が避難したガラガラの会場で、嵐にめげずに最後まで演奏したのは見上げた根性です。お約束の「失神」もしっかりコピーしています。演奏もうまいですね。

ディック・ジョーダン「ストップ・ザ・ミュージック」(1963)

完全にレーン&リー・キングス盤の陰に隠れてしまった印象ですが、英国のディック・ジョーダンのヴァージョンがオリジナルで、他はカバーです。
他の洋盤2曲と比べると明るくてリズミカル、ボーカルもさばさばした歌い方で、間奏もとてもあっさりしています。曲自体はマイナー調ですが、アレンジであまり哀愁を感じさせないところが、日本でヒットしなかった原因かもしれません。

レーン&リー・キングス「ストップ・ザ・ミュージック」(1964)

洋盤3曲の中で日本で大ヒットしたのはスウェーデンのレーン&リー・キングス盤で、日本のカバーもほとんどがこちらをお手本にしています。

3曲の中では最もウェットで哀愁を強く感じさせるところが、当時の日本人には大いに受けたと思われます。また、日本発売が1966年とGSブームの初期と重なり、多くのGSがステージで演奏した事も大ヒットの一因でした。GS終焉後も今日まで多くのカバーが歌われ続けています。なおリー・キングス盤は本国をはじめ北欧諸国でも大ヒットしています。

ヒットメイカーズ「ストップ・ザ・ミュージック」(1966)

レーン&リー・キングスに続いて日本発売され、ヒットしています。ヒットメーカーズはスウェーデンの隣国デンマークのグループ。3曲の中では最もビートが効いており、ドラムスの重低音を強調した重くてハードでなサウンドす。
個人的には、一番ロックっぽいのにそれでいて哀愁も感じさせるヒットメーカーズ盤が好みでした。

こちらはライブ映像 (ただしリップシンク)。


スウィング・ウエスト「ストップ・ザ・ミュージック」(1968)

テンプターズとスウィング・ウエストを聴き比べると、歌唱力とアレンジの両方で湯原昌幸のスウィング・ウエストに軍配が上がりますね。
湯原昌幸はバンドの解散後、ソロ歌手としてGS時代にも歌っていた「雨のバラード」を大ヒットさせています。

テンプターズ「ストップ・ザ・ミュージック」(1968)

テンプターズがカバーしたのは、リー・キングスと同じスウェーデンのオーラとジャングラーズのヴァージョンです。

斉藤チヤ子「ストップ・ザ・ミュージック」(1963)

珍しいディック・ジョーダンのカバーで斉藤チヤ子のラストシングル。
発売が1963年7月ですから、「ストップ・ザ・ミュージック」の最も初期のカバー。歌詞の視点人物を女性に変更しています。

ベンチャーズ「ストップ・ザ・ミュージック」

おなじみベンチャーズによるエレキインスト・カバー。
手慣れた職人芸という感じですが、間奏など随所に独自のアレンジが施してあるのはさすがで、多くの日本のエレキバンドがカバーしています。                      

Star People 「ストップ・ザ・ミュージック」(1975)

空前のディスコブーム時代のカバーですから、当然アレンジもディスコです。

SATOKO 「ストップ・ザ・ミュージック」(1990)

こちらは、日本人歌手によるディスコ調日本語カバーです。
全く知らない歌手ですが、なかなか歌唱力があって聞かせます。

こちらにディスコブーム時代の代表曲をまとめてあります。


M-BAND「ストップ・ザ・ミュージック」(1986)

聞いた事のないバンドですが、独特と言うか、かなり癖がある歌唱とアレンジです。

ヨーチャーズ「ストップ・ザ・ミュージック」(2023)

アマチュアバンドによるカバー。やや平板ではあるもののボーカルの声がのびやかで、曲のよさをうまく引き出しています。

吉田拓郎 「人間なんて」(1971)

こちらがオリジナル・ヴァージョンで、ごく普通のフォークソングです。

吉田拓郎 「人間なんて」(1975) つま恋ライブ

「ウッドストック」(1969)の影響を受けた吉田拓郎は1970年台、大規模野外ライブを何度も開いており、こちらはつま恋でのライブ。

いつもの脱線で、「ウッドストック・コンサート」でのサンタナのライブです。

サンタナ「ソウルサクリファイス」(1969)

デビュー直後のサンタナは「ウッドストック」でこの曲を演奏して、世界中にその名を知られるようになります。全米チャートでは、4位の大ヒットを記録。ライブでは、ドラムスのマイク・シュリーブをはじめとするリズム隊が大活躍しています。

MICA(奥土居美可)「人間なんて」(1989)

                                  永松よしひろ「人間なんて」(1989)   エレキインスト曲

                                  マイペース「東京」(1975)

オリコン最高位は28位と爆発的にヒットした訳ではありませんが、46回も息長くチャートインし続けた結果100万枚のミリオンセラーになっています。

マイペース「東京」(2011) 再結成時のNHKライブ

                                  マイペース「東京」については、こちらにも書いています。      

坂本九「東京」(1975)

最も初期のカバー。アルバムに収録された後、翌年シングルカットされています。かなりジャズっぽいアレンジで、原曲の持つ抒情性は殆ど感じられませんね。


敏いとうとハッピー&ブルー「東京」(1982)

ムードコーラス版「人間なんて」。
クラリネットが哀愁感を醸し出しています。  

BEGIN「東京」(2006)

こちらはジャズブルース的アレンジで、映画『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン』の主題歌。
BEGINはJITTERIN’JINNやたまと同じイカ天出身バンドで、デビュー曲はイカ天でも審査員をうならせた「悲しくて」。

柴田淳「東京」(2012)

一見(一聴?) 投げやりともとれる程さらりと歌っているように聞こえますが、よく聴くと意外に情感がこもっていてカバーとしてはレベルが高いです。                           

丸山みゆき「TOKYO」(1990)

                                  石原詢子+田川寿美 「東京」 演歌歌手が歌う「東京」です。

シルバーフォックス5「機嫌を直してもう一度」(1966)

当時大人気だった伝説のエレキ番組「勝ち抜きエレキ合戦」出場時の貴重なライブ音源。もろGSという感じのアレンジです。
同じ回に当時来日公演中のスプートニクスがゲスト出演、日本で大ヒットした「霧のカレリア」を演奏しています。

チェリー・サウンズ 「気嫌をなおしてもう一度」(1970)

メジャーレコードデビューが出来なかったC級GS。GS全盛期には、ブルーコメッツのコピーバンドのような活動をしており、髪形も長髪ではなくブルコメそっくり。
「気嫌をなおしてもう一度」は、解散前の記念として1970年に自主製作された唯一のレコードのA面です。

望月浩「機嫌を直してもう一度」(1970)

デビュー時はGSの影響を受けた「エレキ演歌」の青春歌手として売り出されました。歌謡曲っぽいくせのある歌い方で楽曲のよさが出し切れていない感じですが、それでも望月浩最後のヒット曲になっています。1966年のビートルズ来日公演に前座歌手の一人として出演しています。

木原慶吾&スピリッツ「機嫌を直してもう一度」(1978)

バック演奏のアレンジが洗練されており、ボーカルは歌唱力はないものの素直な歌い方で大変聴きやすいです。
米国ガールグループのシフォンズが歌った「STOP,LOOK AND LISTEN」(1966)という曲が元歌とされていますが、1962年にカビリー歌手高松秀晴がレコード発売しているというミステリー。

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