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私を諦めないでね


久しぶりに同級生からLINEが来た。彼女とは学生時代よりも社会人になってから仲良くなった。私とは違って友人関係の幅が広く、別の同級生たちの近況を彼女から聞く事も多い。私はいつも「へぇ〜」とか「そうなんだぁ」とか、興味があるような無いような返事をしてしまう。そんな私なのに、いつも何かと声をかけてくれる。同級生10人くらいの集まりに誘ってくれたり、一緒に恩師の家に遊びに行かないかと聞いてくれたり。そして、私は大体いつも断る。同級生といっても、私が仲良くしていた人たちではなかったり、学生時代の先生の家に遊びに行くほど私はその先生に懐いていない。基本出不精なのだ。もちろんいつもいつも断るわけではない。ランチしたり飲み会したり、ごくごく内輪の集まりには行く。ただ、彼女の行動力や人間関係の広さに気後れしている部分がある。だからたまにLINEが来ると、今度は何を言ってきたかとドキドキし、読む前からどうやって断ろうか、などと思ってしまうのだ。ホント、申し訳ない。そんな私なのに、不思議なことに彼女は私の事を全然諦めない。また断られたらどうしよう、なんて思わないで、いつも声をかけてくれる。ホント、ありがたい。


そういえば、いつもいろんなコンサートに一緒に行くママ友に聞いた事がある。誘うのはいつも私なので、その子を連れ出す私の事をご主人はどう思ってるんだろうと心配して聞いてみたら、「誘われるうちが花。誘われてる間は行けば良い。」と言ってくれてると知り、安心した事があった。もしそのママ友が私の誘いを断わるような事があれば、私は誘う事をやめてしまうだろう。


さて今回のLINEは、うちの近所の美術館でやっている、ある絵本作家さんの原画展についての問い合わせだった。私はその原画展に職場の同僚と行く約束をしていた。その作家さんが特に好きなわけではない。近所でやってるなら行ってみるか、そんな感じなんだと私は言った。
「(その絵本作家さんが)そんなに好きだったの?」私は聞いた。
すると彼女は言った。
「めちゃくちゃ好きってわけじゃないけど、みとんちゃんちの近くでやってるならみとんちゃんに会えるかなぁと思って」と。「でもそんなに好きじゃないなら2回は行かないよね?」って。


あ、そういうことか。
「良いよ。付き合うよ。」
「ホント?良いの?」
彼女は嬉しそうだった。原画展に行けることが嬉しいのか、私と会うのが嬉しいのか、どっちでも良い。私はなんだかとても良い事をしたような、友達孝行したみたいな気持ちになれたのだから。2回めだって構わない。家から歩いて行けるんだもの。彼女がわざわざ私の住む街まで来てくれるって言うんだから。私はランチの美味しいお店を予約して、オシャレなチョコレート屋さんやコーヒースタンドを案内してあげようと思う。私を諦めないでいつも誘ってくれる彼女への恩返しだ。


「私、意外とちゃんと黙食するかもだけど、良い?」と彼女。
「うん、2人でモクモクと食べよう。」


お喋りなんかしなくても、久しぶりに友達と2人で食べるランチは多分楽しい。



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