Seventeen's Summer 17歳の最終楽章Ⅱ 第13話
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すぐにケンシが電話を切った。答えはだいたいわかっていた。気さくで友達のことを大切にしなさいと言ってる親だ、OKに決まってる。
「いいって」
「わーい、晩御飯代浮いたぜー!」
「お前らただで食おうと思ってるのか?」とケンシ。
「金取るんかい」と優里。
優里とヒメナがハイタッチをして笑っている。とても楽しそうだ。優里が髪を風になびかせていた。
優里たちの笑い声に、沈んでいたユウキの気持ちも晴れてきた。塩の香りと、砂の感触と、体を柔らかく刺す夕日が、ユウキ達を違う世界にいざなっていた。
「これ食べる?」
ヒメナが背中の後ろからカップを差し出した。フライドポテトが山盛りで落ちそうなくらいだ。
「お、いいね、ちょうど腹が減ってきてたんだ」
ケンシが右手を出した瞬間だった。手に大きな衝撃があり、ヒメナが持っていたカップが砂に叩きつけられた。
「いたっ」
「キャーッ」
ケンシと優里とヒメナの声が砂浜に響き渡る。目の前でテントを設置していた家族が驚いた顔で振り返った。
何が起きたのかわからなかった。ヒメナが驚いて尻もちをついた。地面に落ちたカップの上から、大きな鳥が飛び立っていった。
「うわーやられたー」
ケンシが手を痛そうに振っている。
「なに?今の?」
驚いた優里の顔に風になびいた髪の毛がまとわりついている。
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