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【エッセイ】料理が、できなかった

「料理」がうまくなりたい。でもどうしても苦手意識が抜けないでいた。

おそらく、料理にあまり馴染んでない、慣れてないことが原因だったと思う。この苦手意識は、なぜか心にこびりついていて、料理の本にある“料理ができなかった私が、こんなにできるようになりました”という文章を読んでも、「もともとセンスが良かったんでしょ」と思ってしまうほど。そんな私から料理への苦手意識が取れるまでを少し書いてみることにした。

▼料理教室に通う
▼やたらと料理本を買う
▼ネットで料理レシピを調べて作ってみる
▼一人暮らしで「つくりおき」を学ぶ
▼毎晩夕飯を作る 

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実家で暮らしていたころは、ほとんど料理はしていなかった。子どものころは料理の手伝いをしていたが、だんだんと勉強やアルバイトが忙しいと理由をつけてやらなくなってしまった。「ボールどこにあるの?計量カップは?」と母親に聞くのも面倒で、作ろうと思えなかった。

母親の料理はおいしいけれど本人はあまり自信がないようで、「教えられないよ~」と言っていた。それならば自分で学びに行こうと、大学3~4年生のときに料理教室に通い、魚の捌き方や出汁の取り方を学び、応用編でパーティーメニューなどを作った。

ただ、料理教室に通ったからといって、料理をするようにはならなかった。学んだことを家で復習しようという気になれなかったのだ。元来、面倒くさがりの私は、一つでも特殊な材料だったり、少しでも複雑な工程があると「無理~」と思ってやる気にならなかったからだ。

そのあとも、色々な料理本を買ったり、ネットでレシピを調べたりしては作ってみたが、そのとき作って満足するだけ。もっと定期的に料理をする環境があったら…。そう思い、一人暮らしをしてみることにした。

一人暮らしをしてからは、仕事が定時に終わるときは、1品だけでも夕飯を作るようにしてみた。といっても作っていたのは、パスタや焼きそばばかり。そんなある日、仕事帰りに書店で『つくおき』(nozomi/株式会社光文社)という本に出会った。

『つくおき』に載っているレシピは、難しい工程のものはあまりなく、調味料もよく知っているものばかり。早速、その週の土曜日に作ってみたが、3品作るのに約2時間かかってしまった(普通は2時間で6品くらいを作るらしい)。私は、同時にいくつものことができなかったため、「まずは…切って、焼いて。あれ、まだ切るのあった。次は…お湯沸かすの忘れてた」という感じで、一個一個に時間がかかってしまったからだ。「毎日3食、たくさんの品数を作る母親はすごいんだな」と、改めて思った。

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つくりおき料理や下味冷凍などを駆使し、ここ一年ほどは毎日夕飯を作っている。毎日続けていると、思っていたよりおいしくできることがあり、だんだんと苦手意識が薄れていくのを感じた。

作り始めのときは、まずは1品作ろうと決めて、その材料を買ってきた。そうすると、たとえばにんじん半分、キャベツ4分の1が余ったりする。そしたら今度は、にんじんが使える料理やキャベツが使える料理を調べて、必要なものを買い足す。これを繰り返して毎日作っていった。今は、食卓に3~4品くらいおかずや汁物を並べられるようになった。ほうれん草をゆでて、醤油とかつお節で味付けしただけでも“1品”と考えると気持ちが楽で、品数を増やせている。

最近は、Instagramや「クラシル」という料理サイトも参考にして、オムライスやお酒に合うおつまみを作っている。まだまだ大さじ1、小さじ2などの細かいところまで覚えていない料理も多いけれど、この一年で、レシピを見ないで作れるものが増えた。何品か同時に料理を作る技も身についたと思う。一年前は味が濃かったり、薄かったりと安定しなかったが、今はそんなに失敗をしなくなった。

私の場合は一人暮らしをきっかけに料理する習慣を作ったが、実家暮らしでもお弁当は毎日作る、などで少しずつ慣らすこともできたのかなと思う。

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最後に、料理に対する私の苦手意識がやわらいだと考える3つのことを。

1、Instagramで盛り付けのきれいな料理をたくさんフォロー。毎日なんとなく見ることで「料理は楽しいもの」という気持ちを引き出す。

2、自分がしっくりくる味や、知っている材料でレシピを作成している人(フードコーディネーター等)を見つけ、ひたすらその人のレシピを作って料理に慣れる。

3、ゆでただけ、炒めただけ、和えただけでも立派な料理、と思う。


ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

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