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うそのはなし|ショートショート

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私が書いたショートショートをまとめています。
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#ショートストーリー

ストロベリームーンの上澄。それの反対。|ショートショート

どうにでもなれ。なんて本当に思っているわけじゃないんだけど、ただ思ったよりしっかり押し寄…

稲橋 閃
2日前
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豊沃と繁栄そして防御|ショートショート

オリビアが以前から杞憂していたのは、雨雲や雹のことだけではなかった。 先祖代々続くコック…

稲橋 閃
9日前
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鳴り続ける音|ショートストーリー

じじじじじぃぃ。 機械音だろうか。 ふと周りを見渡すと風除けの鉄骨と、何やらの電線を通す…

稲橋 閃
1か月前
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僕の星は、兄様のより美しい。#記憶冷凍 |毎週ショートショートnote

またこうしてすこし、微調整する。 兄さま達は、つまらないものを全部壊してまえ、というけれ…

稲橋 閃
1か月前
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道伍のブチ切れ日記|140文字小説

誰も居ない教室で蹴飛ばした机は、思ったよりも大きな音を立てて、遠くまで飛んでいった。 俺…

稲橋 閃
1か月前
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絡のゆるやかな日常|140文字小説

あぁ前からこうだったわけじゃない。 ゆるゆるのスエットで、ふわふわのソファーに座って、丸…

稲橋 閃
1か月前
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朔月 #炭酸刺繡 |詩

いくつもの手ではらった なんどもはらう 声、 うたかたを胸に深く深く なにもない場所で、ただいつのもとおりに潜るだけ 蜜、 強引な契約と浮上、回転する称賛 熱、 ただの重なり 唇、 湧き上がる二酸化炭素はとどまることを知らない いくつでも、なんども 一日目の月が私の耳元で囁く 【あとがき】今回は、藤家 秋さんが主催されているこちらの企画に参加させていただきました。 #炭酸刺繡 大人になってはじめて詩を書きました。 326世代なので、高校生のころはこっそり

早朝バイトのロッカーに息づくヤドリギ|ショートストーリー

もしわかっててやっているなら本当にずるい。 「おはよお。」 眠そうな目をこすりながら、寝…

稲橋 閃
2か月前
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小さなお医者さん|ショートショート

「みんなね、カゼだカゼだってくるけど、これ違うから。扁桃腺ね。ココが腫れてんの。」 塩ご…

稲橋 閃
3か月前
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果奈への電話/2月14日/2回目/4:27|ショートショート

あたしが間違ってたって言うとおもう? たしかに過去のことを掘り返すしつこいところがあった…

稲橋 閃
4か月前
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戦士にもおすすめ!寝るだけで回復する世界の保健室!:アメリカ製保健室|毎週ショー…

「こちらはイタリア製です。お試しください。」 柔らかなレザーのベッドは、ほのかにチーズの…

稲橋 閃
4か月前
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メメントモリのスパイス|ショートショート 中編

↓前編はこちら 円形の大きなシルバートレーに、カレー、ごはん、冷ややっこ、らっきょう、そ…

稲橋 閃
5か月前
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メメントモリのスパイス|ショートショート 前編

「こちらのシナモン、カルダモン、クミン、さらにすこしだけジンジャーパウダーをふりかけます…

稲橋 閃
5か月前
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翌日には忘れる微生物|ショートショート

小さな発見だった。 長い間研究を重ね、彼はついに不思議な糸状菌を発見した。 菌の例に漏れず湿度が高く、暖かな場所でほこほこと増える姿をみつめていると顔が綻んでしまう。 この菌の大きな特徴はその成長速度にある。 顕微鏡で観察している間も、どんどん増えてゆく。 最初のきっかけは彼の不注意で髪の毛を1本、菌の上に落としてしまったことだった。 菌は髪の毛が好物だったようで、そこから爆発的に増えていった。 素晴らしい研究の成果をさらに追及するため、毎日髪の毛を与えて菌の成長速度を