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うそのはなし|ショートショート

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私が書いたショートショートをまとめています。
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記事一覧

知らないけど、踊れる。|詩

右足、次は左手、くるりと回ってジャンプ。 おどりがすき。 どの手をいつ上げるかは、私が決…

稲橋 閃
2週間前
8

8歳の私が道端に寝転んではいけない理由。|ショートショート

私が生まれてからこの8ねん、よくわかったこと。 それはこの世に「理由」というものがあるこ…

稲橋 閃
3週間前
9

新しい体。#天ぷら不眠 |毎週ショートショートnote

“どんな不調も解決いたします” 藁をもつかむ思いで向かったのは、怪しいアパートの一室だっ…

稲橋 閃
3週間前
13

脳内でリピートされる6月の変化。|ショートショート

多分、この風の匂いだ。 胸がざらつく。 裸足で外に飛び出したあの日。 暑くなる少し前のじ…

稲橋 閃
3週間前
14

大人になった瞬間を覚えている。|ショートショート

それは25歳、地下鉄の中だった。 吊り革につかまりながら、ふと知った。 「あ、私オトナにな…

稲橋 閃
4週間前
15

4のひとつ前のクローバー・ナイト。|ショートショート

1、2、3、4、5・・・。 いつからか、数えるのはもうやめてしまったけれど、少しずつ少し少し少…

稲橋 閃
1か月前
16

ストロベリームーンの上澄。それの反対。|ショートショート

どうにでもなれ。なんて本当に思っているわけじゃないんだけど、ただ思ったよりしっかり押し寄せてくる年齢の波とか、夏とか、バランスとか、ミスとか、やる気のなさとか、そういったものがパンパンに膨れて私の上にのしかかる。 「だからさ、もうすこし息をしなよ。」 いつものバーにいくと、カウンターの向こう側にはノンキを絵に描いたような男、ナギサが長い髪をお団子にまとめながら、にこにこと話しかけてきた。 バーに居るロン毛のイケメンの言うことなんか聞くもんかと、目だけで威嚇すると、そんな

朱に葵。所々黄の心。|ショートショート

朱。 湧き上がる冒険心と、情熱そして、無鉄砲さをはらむ挑戦。 その上に、葵。 平静と均等、…

稲橋 閃
1か月前
9

豊沃と繁栄そして防御|ショートショート

オリビアが以前から杞憂していたのは、雨雲や雹のことだけではなかった。 先祖代々続くコック…

稲橋 閃
1か月前
8

まりかとせなのバランス #友情の総重量|毎週ショートショートnote

「やば。また忘れちゃった。」 まりかってば、いっつもこう。わざとなのかもと思ったこともあ…

稲橋 閃
1か月前
27

トンボー地域でまた会おう。|ショートショート

大きな爆発音が背中で鳴り響く。 また暑い季節が近づいてきた。 15歳なんて布切れの切れっぱ…

稲橋 閃
1か月前
12

宇宙船はなぜ車ではないのか|ショートショート

つるり。 まあるく抵抗がない方が良く飛ぶってじいちゃんがいってた。 私が整備した船で、明日…

稲橋 閃
1か月前
16

今日の私が船のへりにいる理由|ショートショート

ほんとうに、ほんとうに、急いでいる。 しかし、オールを操る力がみあたらない。 昨日の私な…

稲橋 閃
1か月前
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元カレの名前がイカつくなってるからビール飲む。 #山岳カルマ 毎週ショートショートnote

「俺、このマイク一本で天下とるわ!」 そういって私が借りていた荻窪の2LDマンションを飛び出していた元カレ「河口勝(カワグチ マサル)」を、次に見たのはあれから2年後、最近出会ったいい感じになってる彼とのデート終わりに、家で1人お風呂上がりのシメビールを煽ろうと準備して座ったテレビの前に映し出された深夜ローカル番組で始まったラップバトルみたいなやつだったけど、私の記憶していた彼より大きく、せり出したお腹が、逆に貫禄を与えてて悪くなかったのに、ラップバトル中の自己紹介で名乗っ