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ブルージャスミン 離婚と自立

思えば”離婚が自立の第一歩”だった。

 

離婚と言えば…思い出す映画がある。

『ブルージャスミン』2013年公開アメリカ映画。ウッディアレン監督脚本。ケイトブランシェット主演。離婚でゴージャスなセレブ生活から一転、抗うつ剤でも抑えきれない程の精神不安と神経衰弱に陥る映画。

2度の離婚を体験した私の周りには離婚者も多いし、離婚したい予備軍が大量に待機している。そして、離婚の相談もよく耳にする。

離婚を考える時に映画の主人公の姿は私が感じていた事柄と酷く重なるし、親近感が持てた。私はセレブでも無ければ、彼女程に落差がある生活をしているわけではない。ただ大学生を子供に持つ彼女の年齢設定や、先行きの見えない不安感に苛まれている姿は離婚した人なら経験する気持ちなのかも知れないし、物事が自分の思い通りに行かなくてどん詰まり感を感じたことがある方なら容易に理解出来る心情なのかも知れない。


そして私に聞かれた場合の離婚に際してのアドバイスは、

離婚するなら賢く準備しよう!

離婚は結婚より大変!!!

と、言うものの最初の離婚は直情的に”嫌だ”という一念でただ離婚届を提出した。まだうら若く、実家もあれば仕事も選べるし、浮いた恋バナも咲く花の頃。人生のやり直しが柔軟に出来る頃。先の事なんて考えなくても動いていたら道が出来る頃。

ただ、年齢を重ねてからの離婚は特に慎重に、虎視眈々と準備を怠ってはいけないと思う。年齢を重ねてから直情的に離婚した方の末路は寂しい。

経済的安定の確保無くしての離婚は経済的に追い詰められる。子供にもお金が掛かる時期を迎える。手に職も無くしての職探しは低賃金、時間労働になり肉体的時間的精神的な、疲労感と喪失感に苛まれる。

見合いでもと婚活パーティーに参加するも、不発弾ばかりに自信喪失…年齢と比例して狭き門を潜るが如しの成約率を目の当たりにすることになる。加齢からくる心身の衰えに自分の年齢を自覚し、諦めの言動が増える傾向にある。

なるべく、経済的な確保をして離婚するには、自分が有利になる、相手の婚姻継続不可能な理由付けの証拠の記録と提出が必須条件となる。第三者の審判には感情的な訴えより、客観的事実が優先される。

冷静に相手の情報を集めたもの勝ちだ。


其れが姑息というのなら、若しくは相手に対しての情が我慢を上回るなら、離婚はしなくて良いと思う。素晴らしいいぶし銀の様な風格のご夫婦を目の当たりにすると、どんな出来事も乗り越えた先にいいことがあるのではと思ってしまうから。

ただし、暴力を振るう人からは、先ずは逃げて!命の安全確保が1番。命あっての離婚準備ですもの。

当然、離婚する前に自分のお金や仕事を確保するのも必須。


それでも私はいつも基本的には離婚には反対している。

色んな覚悟を持って離婚に望まないと、離婚後が大変だし、直情的に離婚するなんてもってのほか。

映画の主人公はまさに直情的に離婚したと言える。度重なる夫の浮気に悩みながらもセレブ生活を満喫していた彼女。ただ、若い女に鼻毛を抜かれ家を出た夫にキレて、詐欺紛いの商売をしていた夫を告訴して破滅させてしまう。そして自分も無一文で放り出されることとなる。

ここでもし彼女が怒りに任せず、一呼吸置き冷静に対応していたら…先ずは自分に有利な離婚交渉をして莫大な慰謝料を貰い離婚後の経済的安定を確保。それから若い女に走る夫に鉄槌を喰らわせても良かったのでは…⁉️と思う。

子供にも子供の父を裏切ったと背中を向けられる前に、話し合う機会を持てたら、違う結果が得られたかも…

映画のラストシーン。街のベンチに座る主人公。濡れ髪にくたびれたブランド服。溶けてクマになるぼろぼろの化粧くずれ。新しい仕事も、夢も、恋も日常生活も、上手くいかなくて八方塞がり。抗うつ剤も、お酒も自分を誤魔化すに至らずにぶつぶつ独り言。目がイカれジャンキー。こんな酷い姿の主人公で映画は終わる。映画は…

この先、主人公の人生は転落の一途を辿る可能性もある。もしかして、虚言癖が一転、嘘が誠になって逞しく復活する可能性もる。もっと堕ちる所まで堕ちて、貧しい人に手を差し伸べるボランティアに歓喜して自分も誰かの為に生きようと思う可能性もある。人脈を駆使して、事業を始めるかも知れない。何かの拍子に違う道が開けるかも…色々な可能性を秘めている。

少なくとも、私は彼女がいつか日常生活を穏やかに暮らせれる日を迎えると想像している。

酷く辛くて、泣くに泣けなくて、どうすればいいかわからなくて…途方に暮れて、明日が望めない失望感に打ちひしがれる時って、誰でも一度はあるのではないかと思っている。

堕ちたら抜けられないような穴にズッポリ入って、全てを諦めてしまいたくなる時もあると思う。

だけど、何もかも一度終わって、やり直す機会は必ず与えられる様な気がしている。

主人公は夫の経済力無くして、自分で生活していくにはまだまだ足りないものが沢山ある。かつて私も一人っ子で甘やかされて育ったせいか、離婚する迄、誰かのおんぶに抱っこだった。自立には足りないものが沢山あった。

約18年前の第1回目の離婚からか?、約10年前の第2回目の離婚からか?、私の自立への道の第1歩が始まった。面倒な書類の山の片付け方にはじまり、あきらめずに仕事をすること、働くこと、仲間と助け合うこと…その他もろもろ…自立には色々な能力が必要だ。

そう、離婚が人生転期のはじめの一歩。

今、私はMito工房を立ち上げたし、雇われでお給料確保しながら、少しづつでも、自分の道を切り開けたらと未来計画を立てている。

誰だって失敗は成功のいしづえと出来ると思っている。


ブルージャスミンの花言葉 ”心より同情します”より”密かな情熱”の方が好きだな。幾つになっても、何度失敗しても、心に小さな火を灯す。絶対消したくない密かな情熱。一旦吹き飛ばされても、心は自由にまた火を灯す。



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