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こんなに泣くと思ってなかった。映画BLUE GIANT

忘れられない映画体験になった。


原作未履修。ジャズにも詳しくなく、前情報なしの状態で鑑賞。だからこそ、衝撃が大きかったのかもしれません。
まだこの熱気が残っているうちに、どこに感動したのか、noteに書き残しておきたいと思います。後々見返した時には、ちょっと熱苦しいって思うかもしれないけれど、この気持ち、忘れたくなくて!(以下ネタバレも含む)


ジャズのイメージががらりと変わった。

ジャズに対しては、もっとクールでテクニカルなイメージを持っていたけど、まさかこんなにも熱い一面もあるなんて!
パッションとパッションのぶつかり合い。ほとばしる感情。
激しくて、もう大火傷してました。
これは、ロックやメタルよりも熱いのでは? ジャズってこんなにかっこいいんだ!

映画を観る前にメインビジュアルを見たとき、
「なぜ絵がこんなに激しいタッチなの?でも色は青(=クールなイメージ)でなんか違和感あるなあ」という印象をもっていたけど、
あれは温度高くて、赤通り越して青になってたんですね、、、
映画の内容を的確に表すビジュアルだったのでした。


劇中のライブハウスの一席に、私も座ってた。

あれ、私って今、映画館にいるんだよな?
何度もふと我にかえる。なんだこの没頭感。

この映画の見どころは、間違いなくライブシーン。
自分も会場の一席に座って聴いているような錯覚に、何度も陥っていました。そして、劇中の観客と同じ温度で泣いてた。
特に最後のライブの演奏が終わったときには、拍手しようかと思ったくらい。スタンディングオベーションが起きるのでは?と思ってしまった。(実際には起きなかったけれど笑)

温度を伝える演奏と楽曲の素晴らしさ。

そこまで引き込まれた理由は、やはり、ライブ毎に死んで生き返るような全力プレーを、テナーサックスの宮本大(演奏:馬場智章さん)がやってくれたから。その熱い演奏に何度も、心がぐらんぐらんと揺さぶられて泣く。
サックスだけでなく、ピアノの上原ひろみさんや、ドラムの石若駿さんの演奏も。3人が発する熱くて青い炎が、こちらにも燃え広がる感じ。

熱を伝えてくれる演奏者の方々のプレイ、あとは楽曲自体の素晴らしさ(作曲:上原ひろみさん)、これが感動の大きな要因だと思います。

音の演技がすごい。一番泣いたのはドラムソロ。

どの演奏もよかったが、一番泣いたのは、so blue で玉田が、沢辺不在の中叩いたドラムソロ(演奏:石若駿さん)。
玉田のみ素人スタートという設定だったので、初めてのライブではリズムを外したり、洗練されていない音を出したり、と有名なドラマーである石若さんは、初心者の音を出す演技に苦労されたのではと勝手に想像してしまう。でもそのおかげで終盤の演奏が際立っていたと思う。

ソロははじめ、バスドラムだけで始まり。
一瞬、大丈夫なのか?と思うけど、一音一音が明らかにもう「素人の音」じゃなくて。でも決してテクニカルじゃない。魂のこもった全力のプレー。玉田の成長とその裏にある努力の日々を思い、もう涙が止まらなかったのでした。(はじめのライブから玉田の成長を聴きにきていたおじさんと同じ気持ち。)

その熱い演奏を伝える、最高の音響空間

Dolby Atmos®(ドルビーアトモス)対応の映画館で聴けたことも、よかったのかもしれない。近所の映画館ではなく、隣県まで1時間半かけて行ったかいがありました!演奏シーンでは、その場にはもちろん演奏者はいないんだけど、「音源」という言葉を当てはめたくないほどに生感。まるで生きているかのような音。音響界隈には詳しくないけど、今の空間オーディオテクノロジーってこんなにすごいんだな。
家で観たほうが、人目を気にせず大泣きできるということもあるかもしれないけど、この作品は(できればドルビーアトモス対応の)映画館で観るべき映画


帰路のこと

エンドロールを観ている時には、興奮で背中が汗でぐっしょり。
映画館の外に出ると、その汗で体が冷えて、震えながら冬の夜道を帰ったのでした。

でも帰り道はまるで、いいライブを見に行った日のそれとまったく同じ。
すぐに帰りたくなくて、電車があるのに歩いて帰ったり、少し遠回りしたくなる、あのゆらゆらした夜の大好きな時間。

その時間も含め、いいの映画体験だったなと。






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