ヨーグルトの健康イメージというものは凄まじい。 どんなにジャンクなランチでも、 ヨーグルトを1つ添えるだけでヘルシーに感じるのである。 乳酸菌というワードを瞬時に思い出させるのもあってか、健康意識を充分に満たしてくれるからやはりすごいものだ。 またフルーツとタッグを組むことで、よりヘルシーかつ甘味欲もカバーしてくれる実に憎い存在だ。 ばあさんは自称「ヨーグルトおばさん」である。 コンビニにおつかいを頼む時も買ってくるように伝えてくる。ばあさんの呪文である 「1本、1本
市場に勤めていると便利なもので、 食品の買い出しも市場内で済ませることが出来る。 ばあさんもその恩恵を感じているようだ。 朝ごはんも済ませて店が落ち着いてくると暇を見て市場内に繰り出す。 「外出ても良い?ほんじゃあ、ちょっとよろしくなぁ。」 と言うと後ろの棚に掛けてある杖を取り、ポケットに入れてあるお金を確認してスタスタと歩いて行く。 ポケット5,000円現ナマスタイルという強気なばあさんだ。 その後ろ姿はまるでこの市場のマスコットキャラのようである。さすが市場の
みふ子ばあさんには友達がいる。 外に出る時は必ず一緒に居るし、仕事の時もずっとだ。店の特等席に佇んでいる友達は、いつでもばあさんと行動を共にする。 ばあさんを支える仕事をしてくれる友達はいつも準備万端だ。 ばあさんは膝が悪く友達が居ないと上手く歩けない。膝から全体ばあさんを支えるとても頼もしい存在である。 年老いると足の歩幅も短くなり、 一歩が重く感じる。足の筋肉が細くなり、足の裏での着地が上手く出来なくなってくるのだ。 頭がT字の細身のシルエットに黒を基調としたメタ
こちらの淡水屋は ありがたいことに朝ごはんが付いてくる。 そこでも、ばあさんはこだわりを発揮している。 火曜、木曜、金曜日は おにぎり屋さんのおにぎりをいただくのだが、ばあさんだけは特別に作ってもらったツナマヨになっている。 特別な一個なのか分からないが、 海苔が二枚付いてくる。これに対してばあさんは 「なんでいっつも海苔二枚なんやぁ。いらんのになぁ。」 と毎回のように文句気味に言っている。 特別な一個を毎度作ってくれるのにだ。 そして、その余った海苔一枚を私に押
7時を過ぎると社長は朝に酒屋の前に 停めていたトラックを市場内に車を収めに行く。 オープンからこの時間までは ノンストップで魚が羽ばたいて行く。 一旦落ち着く時間を見て トラックを収めに行くのである。 業務には入ってないのだが、 トラックの姿が消えたのを確認すると 私はすぐさまケトルにスイッチを入れる。 「おかあさん、飲みますか?」 と尋ねるのだがばあさんの分はすでに作っておくことにしている。社長を遠目に確認したら、 戻って来るタイミングに合わせて私はカップにお湯を
魚屋の主な販売方法として量り売りがある。 kgあたりで値段が表示され、 目方を量って値段が決まるのだ。 だから私はレジグランマであるばあさんに 丁寧に聞き取りやすくハッキリとグラムを伝えるのだ。 ばあさんが伝票に商品を書く時は 声に出して復唱してくれるので、 その後に続いて私がグラムや値段を伝える。 理由としては、 仕事は丁寧にやるものだと思うからではあるが、 もう1つは、ばあさんの機嫌を損ねないようにするためである。 ばあさんのペンのスピードに合わせて伝えるし、
オープンの時間は実は決まっていない。 慣れたもので朝の準備は早ければ15分以内には終わるのでオープンをゆっくりと待つことが多い。 だが、6時を目処に朝酒屋の前に停めていたばあさんを乗せたトラックが再びやって来る。 ばあさんの一人息子である社長の到着とともに淡水屋は始まる。 AMラジオをセットした運転手。 ばあさんに商品と値段を伝えるのも、 鰻の背を開いているのも社長だ。 社長のトラックが仕入れた鮮魚達を卸業者から運んでくる。到着と同時にすぐ私は荷物を降ろし、指示され
「おかあさん、おはようございます!」 私が出勤する時間は5時30分。 自転車にで市場へ向かうのだが、 おおよそ7分くらいで到着する。 まずは鞄をばあさんの コックピット後ろにある鞄掛けにかける。 とは言っても、棚に釘が一本打ってあるだけだ。 ばあさんの機嫌が悪い時は、 いつも鞄から荷物を取る時は気を遣う。 ためらうからだ。私は悪くないのに。 鞄から荷物を降ろして、 長靴に履き替えて店のディスプレイを作る。 最初にテナント外の準備から始まるのだが、 すのこを敷いた