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⑩ みふ子ばあさんと半熟煮卵

こちらの淡水屋は
ありがたいことに朝ごはんが付いてくる。


そこでも、ばあさんはこだわりを発揮している。


火曜、木曜、金曜日は
おにぎり屋さんのおにぎりをいただくのだが、ばあさんだけは特別に作ってもらったツナマヨになっている。

特別な一個なのか分からないが、
海苔が二枚付いてくる。これに対してばあさんは


「なんでいっつも海苔二枚なんやぁ。いらんのになぁ。」

と毎回のように文句気味に言っている。

特別な一個を毎度作ってくれるのにだ。
そして、その余った海苔一枚を私に押し付けてくる。社長と私はというと、ゆかりと昆布二個である。

そんな気難しくなる朝ごはんを毎回沈めるアイテムが存在する。

それこそが半熟煮卵であり、
前日に私が作り浸けておくのだ。

これももちろん業務に入っていないし、
作る必要もないのだがばあさんの機嫌や健康のためにはいいと思う。
何よりも私が食べたいのでとても都合が良い。

社長も楽しみにしてくれるし、
それに卵は完全食だから朝ごはんに良い。

私に一言声をかけてタッパーに入った半熟煮卵を二人は美味しく食べてくれる。

ばあさんは

「この煮卵食べたらもうゆで卵なんか食べれんわぁ。」

と機嫌が良くなると毎回のように言ってくれるのである。

ばあさんが元気に日々を過ごしてくれて何よりである。

そして、その日常の中に私の半熟煮卵を楽しみにしてくれていること。心底嬉しくなるのである。

#みふ子ばあさん #小説 #エッセイ #高齢者 #卵 #煮卵 #半熟煮卵

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