見出し画像

⑨ みふ子ばあさんのコーヒー

7時を過ぎると社長は朝に酒屋の前に
停めていたトラックを市場内に車を収めに行く。

オープンからこの時間までは
ノンストップで魚が羽ばたいて行く。

一旦落ち着く時間を見て
トラックを収めに行くのである。

業務には入ってないのだが、
トラックの姿が消えたのを確認すると
私はすぐさまケトルにスイッチを入れる。

「おかあさん、飲みますか?」

と尋ねるのだがばあさんの分はすでに作っておくことにしている。社長を遠目に確認したら、
戻って来るタイミングに合わせて私はカップにお湯を入れる。
ジャスト提供で朝のコーヒーは飲んでもらいたいものだ。

活気溢れる市場の中で飲むインスタントコーヒーは美味しい一杯へと進化してくれる。

ばあさんは実はコーヒーがあまり好きではない。

だがしかし今日もばあさんは


「うん、うまい!」


と満足げに言った。

普段は微糖派のばあさんのコーヒーに私は、
こっそりとミルクココアの粉末も混ぜている。

ばあさんだけの特別仕様にしてあるのだ。

そんなことも知らずに
朝のコーヒーを美味しく飲んでいるばあさんの顔を見て心の中で私はほっこりしている。

仕事は内容もそうだと思うのだが、

「誰と仕事をするのか」

ということも大事に感じている。

今日も平和に和気あいあいと仕事が出来たらいいなと毎日思う。

#みふ子ばあさん #小説 #エッセイ #高齢者 #コーヒー

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?