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12 みふ子ばあさんの買い物

市場に勤めていると便利なもので、
食品の買い出しも市場内で済ませることが出来る。


ばあさんもその恩恵を感じているようだ。


朝ごはんも済ませて店が落ち着いてくると暇を見て市場内に繰り出す。


「外出ても良い?ほんじゃあ、ちょっとよろしくなぁ。」

と言うと後ろの棚に掛けてある杖を取り、ポケットに入れてあるお金を確認してスタスタと歩いて行く。

ポケット5,000円現ナマスタイルという強気なばあさんだ。

その後ろ姿はまるでこの市場のマスコットキャラのようである。さすが市場の名物おばあちゃんだ。

食品の買い出しとなるとばあさんにとっては大きな荷物になることがほとんどだ。

買い物の際にお金を払うだけのばあさん。

市場では顔が利くので、八百屋から肉屋の人たちが気を利かせて食品を直接店まで運んで来てくれることも多い。

お米を買う時は、
私が引き取りに行くことになっている。

ばあさんが店に戻ってくると、両手いっぱいの時があるので遠目から姿が見えたら私はばあさんの元まで迎えに行き荷物を預かる。

ばあさん専用の荷物入れである発泡スチロールに荷物を詰めてあげるのだ。

「いつも気が利くなぁ、あんたは。ありがとう。」

と一言くれるのである。

買い物欲とともに市場内を堪能した後のばあさんの表情はとても充実した明るい表情だ。

#みふ子ばあさん #小説 #エッセイ #高齢者 #魚 #買い物

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