見出し画像

近世大名は城下を迷路化なんてしなかった(27) 第6章 総括:街路変化は五業循環


# 第6章 ~総括:街路変化は五業循環~

## 6.1. 道が悪くなる理由は、城下町ごとに様々

### 6.1.1. 調べてみたら、身もふたもない結論

はい、一同、脱力~~~、ズッコケ、着席。楽にしてください。

荻生徂徠が築城についてなんだかんだ述べたあと、
「気の向くままに好きにやればよい」
という、何の役にも立たない結論を出してた、あのやるせなさを、まさか自分が披露する羽目になるとは。

そうなんですよ。各城下町ごとに、事情がさまざまで、すべてに適用できる一行理由なんか、なかったのです。

城下の道が「そうなってる」理由は色々なのです。色々。地形に経済状況、利水、資源、防災対策。色々です。

そしてまた、単一の理由で都市計画がなされたわけではありません。車輪を有効活用したいとか、防火したいとか、経済を回したいとか、その時代に応じた最大の理由はありました。しかし、そればかりじゃないのです。

政治的理由や経済的理由や宗教的理由で必ずしもベストな土地が選ばれるとも限らず、都市計画の妥協を強いられることもありました。

さまざまな要因のかねあいのもとに、街路は建造されたのです。

なので、本書の結論はこうなります。

「大名は城下を迷路化なんかしなかった。京都のような碁盤目型を採用した近世城下町は多かったが、碁盤目を採用したわりにはクランクや丁字路、クランク十字路が多かった。
その理由はさまざまであり、ひとことでは説明できない

……。

さまざま。

まざまざ、ざまさま。ままままざざざざ。


いけない。これはいけない。これでは人口に膾炙(かいしゃ)しない。

「大名が防衛のため城下を迷路化した」
という誤解をなぎはらうためには、そんな困惑するような結論じゃ、だめだ! このままじゃ時間をかけて無駄な本を書いただけになってしまう! いけないそれはいけない。

ひとことで説明できないものを、ひとことで説明する、不可能を可能にするワンフレーズを編み出さなくてはなりません。

編み出しましょう、設けましょう。仕事は休まず続けましょう。

なせば成る、なさねば成らぬ何事も。成らぬは人のなさぬなりけりと誰かが言っていました。だれだっけ? たしか「う」で始まるひと。……ウィトルウィウスだったかな(違う)。

### 6.1.2. 城下の道は土芯循環により五業相生(ごごうそうせい)し、かつまた五業相剋(ごごうそうこく)す

「城下の道は土芯循環により五業相生し、かつまた五業相剋す」

見出しに書いたことを繰り返してみました。

あわわわわ。壊れた、筆者が壊れた。ここにきてとうとうオカルトを言い始めた。あわわわわ。

ここから先は

30,557字 / 10画像

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?