歓送迎会シーズン到来!ビーガン居酒屋で胃も心も地球もハッピーに!?
こんなところにサステナブル vol.3
こんにちは。コピーライターのつかもとちあきです。
春の陽気が日ごとに増し、出会いと別れの季節の到来を告げているようです。歓送迎会解禁ムードが高まりつつある中で、今回ご紹介したいのは「ビーガン」をテーマにした居酒屋さん!愛知県瀬戸市にある「様時(サマタイム)」で取材を行いました。
夕方、名鉄尾張瀬戸駅に降り立ちました。
瀬戸焼のまちとして有名な瀬戸市。
散策しながら、駅から5分ほどで「末広町商店街」に到着しました!
商店街は、1980年代頃は活気にあふれていたものの、世代交代は難しく、だんだんと若者がまちを離れ、空き店舗が増えてきたそうです。それでも、商店街を歩くと、シャッターが閉まっている店舗がある一方で、リノベーションをして、新たに県外の観光客や若者をとりこもうと努力されているお店にであいました。
ビーガン居酒屋「様時(サマタイム)」も、そのひとつです。
昔から続いてきた環境を活かしながら、時代に合わせていくって、サステナブルですね。
落ち着いた雰囲気の店内で、さっそく、ビーガン料理を注文してみましょう。
地元瀬戸でとれる野菜をたっぷり使ったおばんざいが、瀬戸焼のプレートに。アクセントに自家製のらっきょうを使ったり、マヨネーズは豆乳から仕立てたりと、一皿ずつが、こまやかな手仕事の結晶です。
梅酒は夏に収穫した梅を漬け込んで提供しています。一般の居酒屋さんと比べると、下準備に手間と時間がかかるものの、1年を通して使い切ることができているため、経営計画的にも「健康的」だそうですよ。
そして、サマタイムへ来たら、こだわりの“もどき料理”は、絶対外せません。「肉」と「魚介」っぽいメニューを食してみましょう。
ハーフサイズなのに、がっつりボリューミー。これが肉ではなく、大豆ミートというから驚きです。再現性にはいろいろな意見があるようですが、私個人は肉特有の甘みまで再現されている!と、驚きの連続でした。断面を見ても、肉の繊維質までしっかりと再現されているのが分かりますね。みそも手作りで味わい深く、付け合わせの野菜も旬のものが使われており、大満足のワンプレートでした。
続いて、「エビもどき」を使ったアヒージョをいただきます。
エビのぷりぷり食感は、タピオカ粉と白こんにゃくで再現、赤色はパプリカの色素だから、すべてが自然由来なんですね。お酒に合うように、ガーリック風味を強くしてあるため、刺激的な味わいがクセになりそうです!
メニュー表に、コンセプトがしたためられています。
店主の石川哲也・里美夫妻に、お店に込めた想いをお聞きしました。
【サマタイムのビーガン観①】
100%は目指さない。堅苦しくないビーガンを!
ーーー「ビーガン」は卵や乳製品を含む、動物性食品を口にしない「完全菜食主義者」のことを指しますね。だから、なんとなく、あっさりしていて美味しくないイメージをもってしまう方がいると思うのですが、そのあたり、どうお考えですか?
哲也:味付けはみそ、しょうゆ、酒、みりんなどのバランスを考えて、ウマい!お酒に合う!と思っていただけるように試行錯誤してきました。ビーガンが難しいのは、「どのレベルまでやるか」ということ。ここで出しているお酒は自家製の梅酒やビオワインもありながら、ウイスキーやジンも取り揃えていて、製造過程の先の先までこちらで把握することは難しいんです。だから、「100%ビーガンの居酒屋です」とは謳えません。僕らのお客様は元々ビーガンに取り組んでいる方よりも、初めてビーガンを知って、面白いな、これなら自分も取り入れられるかも!と思ってくれる方なのかな、と思っています。
里美:開店当時は、オーガニックブランドの高級な調味料、食材を取り揃えてメニュー開発してきたのですが、費用の割に、美味しいと感じる味が再現できなくて悩みましたね。でもあるとき、「この課題は、私のおばあちゃんが作っていた田舎料理で解決できるのでは!?」と思って、方向転換したんです。みそを手作りしたり、野菜を中心にしてアレンジを増やしていくことで体にやさしい居酒屋メニューが完成しました。最近では添加物が多く入った食品を食べると、夫婦そろっておなかを壊したり(笑)。じわじわと、体の調子が整ってきているのを感じます。
バリエーション豊富で、体にやさしい居酒屋メニュー。メニュー写真はデザイナー・フォトグラファーとしても活動する店主の石川哲也さん自ら手掛けています。
ランチタイムに人気の「様時の日替りブッダボウルランチ」は土・日20食限定。季節の野菜をはじめ、大豆のから揚げなど健康と美容を考えた食べ応えたっぷりの菜食丼。
【サマタイムのビーガン観②】
生命みんなが気持ちいい状態をつくる!
―――ビーガンを、まずは楽しむことができる空間づくりを大切にされているのですね。
哲也:そうですね。ビーガンというコンセプトを掲げたら、近所のお客様だけでなく、あまりお酒を飲まない若い方も県外や海外から訪ねて来てくださるようになりました。
里美:私たちはとにかく楽しんだり、驚いたりできる場所をつくりたいと思っています。みんながちょっとずつビーガンを知ることで、最終的に人だけじゃなくて、動物も植物も、みんなハッピーというか。
哲也:そうそう。僕たちがよく言っているのが、飲食店をやりたいというより、いい気分になれる人とか生き物を、増やしたい、ということなんです。
―――となりの空き店舗もクラウドファンディングによってカフェバーにされると聞きました。
哲也:商店街がシャッター街になっている現状を変えて、楽しい気分になれる人を増やそうと。エンタメスポットをつくりたいと思っています。ダーツやビリヤードができたり、ビーガンのハンバーガーを食べながら、わいわいパブリックビューイングを楽しめるようにしていきます!
里美:私は消防団に入ったり、夫はまちの理事会に参加したりと、まちの人たちの声を聴きながら、自分たちにできることを考えて過ごしています。一般的な「おばんざい屋さん」から、ビーガンでお酒が楽しめたり、パーティーができる空間をつくることで、瀬戸に来てくれる人が増えるといいなと思っています。
「みんながいい気分に浸れるスポットにしたい」と意気込む石川夫妻。瀬戸のノスタルジックな価値を活かしながら、新しい空気を吹き込んでいく、気合いが感じられました!
サステナブルは、考え方のちがいにより、ときに意見が衝突するテーマです。どのくらいのレベルでそのテーマに取り組むか、人によってとらえ方がちがうためです。でも、実際に取り組んでいる方々は、それぞれの解釈で楽しんでいる。「ちがい」を楽しみながら暮らすことができれば、みんなハッピーになれるのかもしれませんね。