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"らしい"情報、やめませんか。

お久しぶりです。笑
何とか学会発表や、何とか審査会とか、とかとかとかとかいろいろあって間が空きました。
その間に、地元北海道で地震があり…ホント痛ましい映像がたくさん流れていて、とても他人事とは思えず。
なにか出来ること…は無いのですが、これを機会に以前から思っていたことを書き留めて置きたいと思います。

1.今回の地震について
2.Twitterやインスタで何回も流れてきた情報
3.衝撃的な一言
4.科学的整合性
5.これからやりたいこと

1.今回の地震について

今回の地震 is 「平成30年北海道胆振東部地震」。
一応地学の先生が出来るはずで、地球惑星科学専攻であるにも関わらず、お恥ずかしながら、地震に関しては初心者です。
昔勉強したことを思い出しながら…気象庁他の資料を読んだことが全てなので、ぜひ専門の方がいらっしゃればご指摘、コメントいただければと思います。

気象庁は9月6日付けで報道発表(第一報)をしています(気象庁|報道発表資料 平成30年9月6日03時08分頃の胆振地方中東部の地震について)。
その中で今回の地震の発震機構は、東北東-西南西方向に圧力軸を持つ逆断層型(速報)、すなわち縦ずれ断層型としており、これは7日付けの第六報まで変わっていません。
その他の研究機関の研究者の方たちの同様の見解が、いくつかのメディアでも取り上げられています。(北海道震度6強 なぜ起きた?専門家の解説 - FNN.jpプライムオンライン

ちなみに東日本大震災の本震の発震機構は西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型気象庁|報道発表資料 「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について(第4報)など)熊本地震の発震機構は南北方向に張力軸を持つ横ずれ断層型気象庁|報道発表資料 平成28年4月14日21時26分頃の熊本県熊本地方の地震についてなど)とされています。
(東日本大震災は複合的な要因…逆断層と正断層?…とされているので、軸の向き等々は代表的なものだと認識しています)

2.Twitterやインスタで何回も流れてきた情報

そこで、多少表現揺れや前後に情報が加筆されているものもありますが、たくさん流れてきたものが下のものです(※番号は加筆してあります)

①今後の地震には十分に注意してください。②熊本地震は翌日が本震でした。③東日本大震災でも2日前に震度6弱の地震が起こっています。④今回の地震、横ずれ断層形の地震らしくて、東日本大震災、熊本大震災と同じらしく今回の地震が余震の可能性が大らしく、48時間以内に本地震来る可能性が非常に高いです。

①から③についてはおおよそ間違いじゃないと思います。問題なのは④です。

●今回の地震、横ずれ断層形の地震らしくて
→今回の地震は、縦ずれ断層型との見解でコンセンサスが現状得られているので誤り
●東日本大震災、熊本大震災と同じらしく
→東日本大震災は縦ずれ断層型、熊本地震は横ずれ断層型なので、前者については誤り
●今回の地震が余震の可能性が大らしく、48時間以内に本地震来る可能性が非常に高い
→これについては知識不足で詳しい言及が出来ません。横ずれ断層型だからX時間以内に本震が来る可能性があるのか、縦ずれ断層型でもそうなのか、そもそも余震と本震の関係はどうなのか…

もちろん、余震(今後の地震活動)に注意する必要があるのは間違いありません。
ただ少なくとも、科学的に誤りが含まれている内容です。

3.衝撃的な一言

あんまりRT数の多くないtweetについては…目をつむっていたのですが、好きな選手が拡散していたので、思わず「気象庁や研究者の見解は………なので、削除してもらえませんか?」とコメントしてしまいました。
というのも、仮にも研究者教習中の身として、科学的に誤りが含まれている情報を拡散するのは、不適切だと考えているからです。
その投稿は削除され、僕のコメントが伝わったかどうかはさておき、僕のリクエストが通ることになりました。
ただそのコメントに、Replyが付きました。

備えることは大事なんじゃないですか?」に異論はありません。
ただ、「研究者が何を言っても100%はありません」は、何と言えばいいのか…
最近たまに見かけます。99.9999...%を、「無いとは言えない」と表現することで、「あるんじゃん!嘘じゃん!」と言われてしまうと。
研究者なんだから信じろよとは思ってませんが、この人は何を信じてるんだ。そうか、、、◯◯選手か…と。

4.科学的整合性

その彼とは論点がずれていて、「正しいか正しくないか」が、僕がフォーカスしたところで、彼の言いたいことは「余震に備えましょうとするのは良くないのですか?」。
お互い大事にしているところが違う…いやそれも語弊がある。
僕も今回は「余震に備えましょう」がゴールだけど、それには整合性の取れた科学的情報があってこそだと思っている。

けど防災という視点では、ガスボンベを買う、家具を固定する、お風呂に水を溜める…をしてくれるのであれば、間違いであっても煽る行為は必要なのかもしれない。。。
とも思うけど、それはやっぱり不適切だと思う。
なぜなら、支障が出るレベルで過不足ある"準備"に繋がりかねないから。
しないよりはいいのかもしれない。けど、適切な準備が出来るのにしないのはもったいない。
日本の義務教育で、科学的整合性を取ることの重要性は認識できると信じている…という前提なのかな。

だから、最低限「らしい」「らしく」の情報を回すのをやめませんか?
ソースを示せとは言わないし、そのソースが正しいかどうか逐一確認…まですべきだと思うけど…も求めないけど、自分で納得できた根拠があって、「です」「ます」、せめて「のようだ」くらいのレベルで記述出来ない情報を回すのをやめるべき。
そうすれば、故意のデマはともかく、わざとではないデマが激減すると思う。

5.これからやりたいこと

再来週、札幌に帰ることにしたので、出来ることがあればボランティアとして、お手伝いしてきたいというのが近い将来やりたいこと。
気象を専門としているのだから、いつか北海道の役に立つ研究をしたいというのが、もう少し長いスパンでやりたいこと。
あとは…たくさんあるね。笑

地球惑星科学の分野において、自然災害と自然現象は紙一重。
自分の研究も、いつか防災の面でも役に立つことがあればいいなと、役に立てなければと、思っています。

被害が最小限に留まり、少しでも早く、少しでも以前のような、いつもどおりの時間が戻ってくることを、一道産子として願っています。

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