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「リベンジ転職」はどこへいった?

帰宅の途に、ふとこんな言葉を思い出した。

リベンジ転職(wikipediaより)
リベンジ転職(リベンジてんしょく)とは、転職における形態の一つで、新卒入社時に希望する業界や企業に就けなかった者が意中の仕事を求めて転職活動を行うことを意味する造語である。

Wikipediaに記事が登場したのは2016年1月26日。1か月ほどの間に数度の編集が行われ、最後の編集は2017年9月21日であることから、2016年2月頃に盛んにメディアに登場したものと思われる。それは出典からも伺える。また誰が生みの親かは分からないが、2006年12月4日読売新聞の記事アーカイブに「リベンジ転職」の文字があることから、このあたりに世に登場した単語であるように思う。

いずれもバブル崩壊後あるいはリーマンショック後の就職氷河期が終わりを見せたときである。

隙あらば自分語りとなるが、私は新卒入社時に意中の仕事に就けたとは思っていなかった。そして「リベンジ転職」なるものが流行った?2000年代の終わり頃と2010年代の中頃、どちらのタイミングでも転職を試みている。

当時、転職活動をしながら自分は「リベンジ転職」をしようとしているのかなぁと内省した記憶がある。実際に転職をしたのはそれよりも後の2020年頃になるが、振り返ってみて自分の転職が「リベンジ転職」だったか言われると、今は違うように思える。

それはリベンジが「再挑戦」を意味する和製英語であり、一般にリベンジ転職とは新卒入社時に希望する業界(企業)へ改めて転職活動をすることを指しているためではないかと考えるためである。

最初の転職活動はともあれ、次の転職活動のときには30代を過ぎていた。二十歳ちょっとの頃に憧れた企業などすでに忘却の彼方にあり、自分の業務経験で入れてくれそうなところを探していた。社会人を数年も経験すればそのときにやりたいと思える仕事があるところに、いきたいと思うのが自然だ。

また2020年頃といえば、経団連の指針でジョブ型雇用の導入が提案された年である。どちらかというとこちらの流れの影響を受けたかと思っている。

最近ミドル層の中途採用市場が活発になっているのは結局のところ、1995-2005年頃に採用を抑止した結果、歪になった組織の人員構成を是正するためとしか思えないが、そのおかげで雇用が良い意味で流動的になり、選択肢も増えていると思えば腹は立たない。

と、ここまで書きなぐって「リベンジ転職」という単語自体を最近聞かなくなったことに気づいた。それはすでに仕事における自己実現手段の1つとして転職が当たり前の時代になっているからではないかと思う。結果としてかつて憧れた企業に入る結果であったとしても、特別な何かではないのだろう。

それだけ雇用が柔軟化しているのはよいことだが、一方で雇用の安定が揺るぐことのないようにお願いしたいものである。
(みそ)


ありがとうナス!