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読書ログ 『理科系の作文技術』 - 木下是雄

はじめに

こんにちは。上手に文を書けるようになりたい人、みそいちです。
今回は掲題の本の読書レポートです。
思えば、noteを始めた動機の一つに「作文能力の上達」にありました。ので、月に一度くらいはそうした学習に取り組み、その学びをシェアしてみます。

そんな訳で取り上げた、文章術本の第一作は、初版発刊1981年:木下是雄『理科系の作文技術』。
古い。ですが、名著として有名です。私が手に取ったのは45版で、今なお読み継がれている本であるようです。加速主義の今においては古典レベルかもしれませんが、まずはここから始め、徐々に今風のライティングに迫っていければと思います。


(今日の一曲)

主張要約

この世には「情報と意見だけの伝達を使命とする」文章がある。これを「理科系の仕事の文章」としよう。
日本の学校で教えられる作文では、書き手の情緒を伝えたり、読み手の心を動かすための技術が注目される。しかし「理科系の仕事の文章」で求められる作文技術は、それらとは異なる。必要なことを過不足なく・簡潔に分かりやすく伝えること。この方法を学習していこう。

ステップ1 - 準備の仕方

主題の設定

文章には主題が必要だ。しかし主題の選定の前に、文章の役割・課題を把握することが必要だ。仕様書であれば、読み手に間違いなく機能を理解してもらうこと。申請書であれば、読み手に重要性を理解してもらい納得してもらうこと。
文章の役割・想定される読者の性質・文章の長さ・自分の持ち合わせている情報などを前提に、主題の選定を行おう。

主題を選定できたら、それを一文にまとめること:目標規定文を作成することを勧める。目標規定文を設定することで、その収束に向けて全体の構造を練りやすくなり、必要な情報の取捨選択の助けになるだろう。

情報の整理

「理科系の仕事の文章」は、主要な材料が揃ってから書き始めるのが原則だ。とはいえ、材料を揃える方法や整理する方法は心得ていくべきだろう。

書き始め前に数日・時として年単位で、主題のあたためを行う。この時期で思いついたことをメモとして残し、気になったことを調べる。5W1Hでの整理、[分かっている事/分かっていない事]の整理は特に有効だ。
メモ・図表・データ・文献が揃ったのちに、KJ法を通してまとめていけば、整理が進むだろう。

ステップ2 - 適切な文章の構造とは

構成

伝統的な起承転結は、人の心を掴むためのスピーチに向く。しかし情報伝達を役割の中心とする文章の場合は、結論を先に出し、[序論-本論-結論]で構成する方が良い。それぞれの役割は以下のようになる。これらの概要をもとに、構成のアウトラインを書いていくといいだろう。

  • 序論:2つの役割がある。①読者が読むべきか否かを判断できるようにする。②必要な予備知識を提供する。 予備知識とは、[主題は何か・主題の発端は何か・なぜそれは重要か・背景にあるものは・どういう手段で論じるか]などからなる。

  • 本論:次の順序で書いていく。概観から細部へ。細部の説明は機能ごと・性質ごとにまとめて。 一定のルールに則って書き進める場合は、それを遵守すること。

  • 結論:伝統的には、本論のポイントを列挙して、それらの重要性を強調して将来の発展を示す。

頭からお尻に流れる

日本語は英語に比べてトピック・センテンスを文頭に置きづらい。英語は長い修飾語を文末に寄せがちだが、日本語では前置修飾語が多いからだ。しかし、日本語の文章でも、文頭から文末に流れていく文章である方が読みやすく、そうした構造で文章を書いていくべきだ。具体的には、

  • 一文中に2つ以上の前置修飾語は書き込まない

  • 修飾節の中に修飾節をつけない

  • 文や節の書き初めは、なるだけ前のつながりを浮き立たせるような言葉で書き始める

↓つまり

  • 被修飾語は前に出す

  • 長すぎる文章は分割する

ステップ3 - 分かりやすい文の書き方

言い切る

日本の文化では、色々な視点があることを前提に婉曲な表現で終わることが多い。しかしこと「理科系の仕事の文章」である場合、それは悪弊だ。
覚悟を持って言い切り、明確なステートを打ち出すことで、透明で冷静な論争を深められるようにしていこう。

事実と意見の峻別

事実とは、自然現象や過去の出来事であり、然るべき調査や実験で客観的に再確認できることだ。
意見とは、ある前提に基づく推理の結論、物事の価値やあり方を見極めてまとめた考え、感じて到達した結論だ。

事実では、必要な内容のみになるように吟味して、ぼかさずに、主観による修飾語を避けて書く。
意見では、基本的に頭と足(「私は〜と考える」のように、誰がどうした)を省いて書いてはいけない。

分かりやすさ・簡潔さ

ポイントを列挙する。

  • できるだけ短く書く

  • 主語が何かを意識する(主語が全ての文で必要というわけではない。文の役割や構造を意識して書くべしという意味)

  • 読みやすさへの配慮(なんでも漢字・熟語にするのではなく、ある程度の字面の白さを保つ方が良い。難解な言葉でなく極力一般用語を使う)

  • 受動態でなく能動態の方が読みやすい。受動態を避ける

おわりに

いかがでしたでしょうか?
個人的には、「理科系の文章」というコンセプトが気に入って、最後までスルスルと読めました。私はnoteで批評文に挑戦していますが、それは「筆者の気持ちを伝える」文章ではなく「論理的に導き出せる価値判断=準客観性のある情報を導く」文章であり、本著の枠組みでいう「理科系の文章」に該当するかと思います。だからこそ、ここで述べられていたコンセプトには刺さる部分が多かったです。

ちなみに、内容は本著に沿っていますが、章構成などは自分の理解と分かりやすさを優先させて変更しています。より適切な理解を得たい場合は、ぜひご一読ください。

細かいテクニックでは、言い切ること・読みやすさへの配慮。大きいテクニックでは目標規定文の設定や情報のあたため方のやり方が、特に取り入れたい部分です。次回試してみようかと思います。

最後までご覧いただきありがとうございます!
皆さんのオススメの文章術の学習方法・資料などあれば、ぜひ教えてくださいmm

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