ミーシカ

初めての愛読書は「北極のムーシカムーシカ」でした。 擦り切れるほど読みました。

ミーシカ

初めての愛読書は「北極のムーシカムーシカ」でした。 擦り切れるほど読みました。

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  • 妄想ショートショート部

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記事一覧

故郷

嫌な事があって眠れない夜は、海を見ると不思議と心が落ち着いた。 海面に映ってきらきらと揺れる街灯り。繁華街の夜景が照らす水面は、華やかで喧しく、だが孤独を癒す灯…

ミーシカ
4年前
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希望

夕方の図書館で一人ノートを開くあいつが眼鏡を上げる仕草を盗み見ながら、僕は教科書のページを繰る。 窓際に座ったあいつを縁取る夕日。真剣な横顔。眼鏡で滲む窓の外の…

ミーシカ
4年前
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雨の日は嫌い。 湿気で息が吸いづらいし、どんなに撫で付けてもねこっ毛がぽわんぽわんするから。 アルバイト先へ向かう足取りは重く、このまま改札をくぐって消えてしま…

ミーシカ
4年前
8
故郷

故郷

嫌な事があって眠れない夜は、海を見ると不思議と心が落ち着いた。

海面に映ってきらきらと揺れる街灯り。繁華街の夜景が照らす水面は、華やかで喧しく、だが孤独を癒す灯りだった。あの灯りの一つひとつの下に人がいる。

都会に住む私は、暮していくための糧を得るのに心がいっぱいで、自分の孤独から目を背ける事を覚えた。

物心ついた時にはすでに両親はいなかった。老いて幼い私に依存してくる祖父母と暮らしていた日

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希望

希望

夕方の図書館で一人ノートを開くあいつが眼鏡を上げる仕草を盗み見ながら、僕は教科書のページを繰る。

窓際に座ったあいつを縁取る夕日。真剣な横顔。眼鏡で滲む窓の外の景色。

僕はなんだかやる気をそがれて、教科書を鞄にしまって席を立った。

2020年。

世界は疫病に侵され、僕たちは唐突に日常を奪われた。疫病が日本に迫りくる年始、先輩方が粛々と試験に挑むのを、僕たちはただ祈って見守るしかなかった。入

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雨

雨の日は嫌い。

湿気で息が吸いづらいし、どんなに撫で付けてもねこっ毛がぽわんぽわんするから。

アルバイト先へ向かう足取りは重く、このまま改札をくぐって消えてしまいそうになる誘惑を、通帳の残高に思いを馳せて思いとどまる。次の収入の当てがないと、やめられないな……。

遅刻してはいけないと思い直して、小走りにバイト先のコンビニに向かう。

店の入り口脇にあるゴミ箱の影から覗いている、しっとりと湿っ

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