見出し画像

市議会議員選挙に本気(マジ)で参加してみた

去る8月6日(日)、私たち夫婦の住む福島県須賀川市にて、市議会議員選挙が行われた。前回の選挙が定員未達成ということで無投票となったため、前々回からゆうに8年ぶりの選挙戦となった。

市政に関しては、以前に夫の友人でもある、兵庫県高砂市のとある市議会議員のHP制作を請け負って以降、より身近に考えるようになったトピックのひとつであった。一方で制作にあたり、〝市政〟という私たち市民に一番近しい政治について、自分がほとんど何も知らないという現実にも愕然とした。そんな背景を受けての今回の須賀川市市議会議員選挙、自分の住む地域ということと、さらに友人が立候補するということで、今までにない力の入った選挙期間となることが決まったのだ。

今回は、そんな選挙戦・運動員一年目の視点から、地方選挙「ここがおかしい」「ここが良かった」「こうすればいいのでは?」を率直に記していこうと思う。


はじめての、選挙戦お手伝い

選挙に関するルールは山ほどある。事前に選挙プランナー・松田馨さんの『地方選挙 必勝の手引き』にさらっと目を通してみたものの、その文量と守らなければならない〝いろは〟の多さに、早々に打ちのめされた。無理だ…この量をすべて把握して選挙活動に臨むのは…。実際に私たちが担当するのは主に「広報」だったので、その点、特にWeb発信に関してのルールだけ守れるようにと活動を開始した。

今回の選挙戦にあたり、応援部隊である私たち夫婦がひそかに掲げていた目標は二つ。
ひとつは、友人の立候補者「松川ゆうじ」氏のダントツぶっち切り当選。二つ目は、投票率を少しでも上げる(20~30代の関心を高める)ことだ。結果、一つ目の目標は惜しくも2位当選ということで成らず、二つ目に関しては投票率【45・28%】と、なんと過去最低を更新するという有様だった。2位当選に関しては、私たちの裏目標には達せずとも、【1,914票】という票数を集めた大変素晴らしい結果だったと思う。何せ松川氏は、昨年2022年に「一部過疎」として過疎認定された長沼地区から、今回唯一の立候補者となっている。45歳という働き盛りの年齢も後押しして、長沼地区の皆様の声援は、それはそれは熱いものとなった。一緒に選挙カーに乗せられた私も、松川氏に寄せられる地元の方々の期待の高さは肌で感じている。

福島民友8月6日の速報より

なぜ投票率が過去最低なのか?

7月30日に告示がなされ、投票日まで7日間に及んだ選挙選のうち、3日間を私は選挙カーに同乗してアナウンス(いわゆるウグイス)をして周った。一緒に活動した大ベテランのウグイスのお姉さま方から、現場主義のぶっつけ本番指導を受け、体で覚えながらのアナウンス。「選挙はウグイスで決まる」と言われるほど、選挙戦におけるアナウンスは重要視されているようだが、先輩方の凄みのある発声と文句を聞きながら、なるほどなと深く納得した。

一方で、である。新興住宅エリアを中心に人口が増えつつある須賀川市、若い人たちの関心を高めるためには、その地域への働きかけが欠かせない。と言いつつも、選挙カーで乗り込んでの大きなマイクでの宣伝活動は、特に住宅の密集している団地では迷惑極まりない行為だと個人的には感じている。しかもほとんどが平日・日中が勝負の選挙戦、そもそも家にほとんど人が居ないであろう若者エリアをマイクで攻めるのは、何とも非効率極まりない。

その結果が、一位当選の深谷氏との違いに出たのではないだろうか。39歳、今回の25名の立候補者のうち二番目に若い彼は、駅前という地盤の硬さを持ちつつも、SNSでの情報発信を上手く行っていた。正確な情報は得ていないが、運動員の年齢層も若かったのではと想像する。SNSへ一日の活動を動画にしてまとめた投稿は、忙しい20~30代が一夜漬けで候補者選びをするのにも、もってこいだろう。

オンラインとオフラインの上手な併用が、選挙必勝の秘訣…か?

どの候補者も一生懸命頑張ったに違いない。だが、その結果が投票率【45.28%】という過去最低の結果だったということは、重く、重く捉えなければならないだろう。うち新人候補2名がダントツ当選ということも、〝これからの須賀川(=これまでとは違う須賀川)〟への期待が込められていると感じざるを得ない。

須賀川市議会議員選挙 2023 立候補者25名

お隣の地方都市、郡山市のベットタウンという位置づけではあるが、辛くも人口自体は増えている須賀川市において、今後の市を担う20~30代の市政への関心を高めることは、先輩世代にぜひとも頑張っていただきたい重要課題である。選挙に関心のない若者だけが悪いのではない。関心のない市政にしてしまっている、諸先輩方にも非があるのだ。選挙の時だけ現れて、大きなマイクで軒先まで爆音で押しつけがましく名前を連呼する人間に、誰が投票したいと思うだろうか。ちょっと冷静に考えていただきたい。
かろうじて少しでも興味が湧き、「さてこの人はどんな人だろうか。どんな政策を掲げているだろうか。」と思っても、それらを知る術がないのが現状だ。印刷費をかけての紙バラマキでは、忙しい働き手世代にリーチすることは難しい。投票日の朝、ようやくベッドからでも見れるような、ネット上にある情報でなければ、彼らの手元に届けることはできないのである。適切に運用されたSNSと公式HPは、これからの政治に欠かせない神器であることは疑いようのない事実なのだ。


私が制作した『松川ゆうじ』公式HP

とは言え、全ての選挙活動がオンライン上で済ませられれば良いかと言えば、それは〝NO〟であるいうのが、今回の経験を通して私が感じていることだ。昭和的、と言われればそれまでだが、特に松川氏のような過疎高齢地区の立候補者においては、一軒一軒丁寧に周っての、顔を見ての活動が何より大事となる。猛暑となった今夏、溶けてなくなってしまいそうな暑さの中でも、押し車で一生懸命出てきて、声援を送って下さるご高齢の皆様の姿には本当に胸が熱くなった。松川氏が地元生まれ・地元育ちということも、かなり大きかったと思う。これからの長沼をぜひにぜひにと、その握手のひとつひとつに重みが感じられた。
また、選挙カーで市内全域へ周ったことで、地域のカラーを肌で感じることもできた。普段の生活では決まったエリアで行動しがちだが、改めて須賀川の地域ごとの暮らしの特徴を感じることができたのは、思いがけない収穫だった。
「実際に足を運び、顔を合わせる」も、選挙・市政において、依然として省いてはならない大事な要素なのである。

これからの市政への関心を高めるために~女性とクリエイターの存在意義~

と、大きなタイトルを付けてもたものの、選挙戦参加歴一年目のペーペーに、明確な答えがあるわけもない(というがこの国の誰もが持っていないかもしれない)。国政ほど大きくなると話は別だろうが、今回のような地方選挙においては、私たち市民の声は届けやすいはずだ。しかもそのエリアが小さく、人口が少ないほど、一人一人の声の大きさは増していく。だから若い選挙権のある方々には、ぜひ選挙に行って欲しいと思う。というかマジで棄権したらもったいないと心から思う。だって、「〇〇さんとこの〇〇」が立候補者であることなんて、ざらなのだ。市政について、市のサービスについて思うことがあるなら、その人をつかまえて、話に行ける距離感なのである。仕事、子育て、男女格差、過疎高齢問題、医療問題、交通問題…。普段の暮らしで「なんだかなぁ」と思っていることが、ひとつくらいはあるはずだ。それを「そんなもんだ」で終わらさずとも、変えられるチャンスが市政にはある。私たちの一票にはある。
今回の松川氏の広報戦では、〝言葉〟と〝写真〟を駆使した。若者の関心を得られないのは、そもそも知れる機会が少ないからということは、先に述べた通りだ。だからこそ、政治においてもクリエイティブの果たせる役割は大きいと思う。今回の松川氏のポスター、名刺、看板、Web、キャッチコピー、写真まわりは、すべて地元のクリエイターが担当している。しかも偶然ではあるが、全員が女性だった。クリエイターでなんて食べていけないと言われる地方、ましてや県外への女性の流出率が全国トップクラスの福島県において、今回の選挙戦が意味するところは、そういった面でも大きい。

地方、特に過疎地に住まうからこそ感じられる〝政治の近さ〟。
政(まつりごと)と書いて〝政治〟だが、本当にどんな祭りよりも盛り上がった、2023年、熱戦の選挙戦であったと感じている。

松川ゆうじ応援部隊。長沼地区の豆腐店前にて。

P.S. 今回の選挙戦において、Web活用について何度か選挙管理委員会から指導があったが、いずれも事実確認が不十分な(選管の方の勘違い)による無効なものだった。これも高齢者ばかり、あるいは旧態依然とした選挙戦を引きづっている結果の一つだと思う。一投稿の是非を確認するだけでも時間を要した。これは時間が勝負の選挙戦において、立候補者にとっては痛手である。過去最低の投票率を受けて、ぜひ時代に合った選管の在り方も模索していただきたいと願う。

【参考資料】
阿武隈時報 8月6日 速報
>地元・須賀川をベースにした新聞社だけあり、内容の濃さが違います!

福島民友 8月6日 速報
>各立候補者の獲得票数が一元化されています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?